◎2018年に破綻したイラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。
2019年11月5日/イラン中央部、ナタンツ核施設内のウラン遠心分離機(AP通信)

国際原子力機関(IAEA)は29日、イランが国内にある2つの主要核施設において、数千台の新型遠心分離機によるウラン濃縮を開始すると明らかにした。

IAEAは当局がこの新しい遠心分離機でウランを5%まで濃縮するとしている。

IAEAは声明の中で、当局がIAEAに伝えた計画を概説した。それによると、IR-2M、IR-4、IR-6遠心分離機を使い、約45のカスケードにウランを供給するという。

カスケードは複数の遠心分離機を接続したもので、より迅速にウランを濃縮するために、ウランガスを一緒に回転させる。

これはイランの原子力プログラムの主力であったIR-1遠心分離機よりも速くウランを濃縮できる。

IAEAはそれぞれのカスケードに何台の遠心分離機が入るかについては詳しく説明しなかったが、イランは過去に160台ほどの遠心分離機をひとつのカスケードに入れたことがある。

イランが遠心分離機にウランを投入し始めているかどうかは不明だ。

イランはこれまでのところ、この計画の詳細をあきらかにしていない。しかし、5%濃縮を開始することで、イランは西側諸国との交渉で有利になると同時に、もし西側の言うことが気に入らなければ、圧力を強めることができる。

2018年に破綻したイラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。イランは10月26日時点で60%の高濃縮ウランを182.3キログラム保有している。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

トランプ(Donald Trump)次期米大統領は前政権時代にイラン核合意から一方的に離脱し、イランに厳しい経済制裁を科した。

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