◎厳しい裁判は数週間続くと予想されている。
俳優のジョニー・デップの弁護士は26日、元妻アンバー・ハードに対する5000万ドル(約63億円)の名誉毀損裁判の中で、「アンバーは境界性パーソナリティ障害と演技性パーソナリティ障害に苦しんでいる」と証言した。
ジョニーはワシントン・ポスト紙が2018年に掲載した記事の中で、アンバーが「家庭内暴力を(受けた女性を)代表する公人になった」と主張したことに憤慨し、5000万ドルの訴訟を起こした。
アンバーは記事の中でジョニーの名前には触れていないが、ジョニーは記事のせいで名誉、名声、ファン、そして大ヒット映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」フランチャイズを失ったと主張している。
ジョニーの弁護団に雇われた心理学者のカリー氏は陪審員に、アンバーとの12時間に及ぶインタビューの詳細と、アンバーの精神衛生上の問題について証言した。
アンバーはジョニーとの関係が悪化したことでPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したと主張しているが、カリー氏はこれを否定した。
ジョニーはカリー氏の証言でアンバーが加害者であることを証明したいと考えている。ジョニーは過去4日の証言の中で、「ハードさんは私が関係を断とうとすると追いかけまわし、口論になり、立ち去り、また追いかけてきた」などと主張した。
カリー氏によると、境界性パーソナリティ障害と演技性パーソナリティ障害はよく似ているという。
境界性パーソナリティ障害は精神が不安定になり、見捨てられることに恐怖を感じる。カリー氏は、「この障害を持つ人は、そうならないように必死で努力する」と説明した。
以前の審理の中で紹介された音声クリップには、ジョニーが「別れたい」、別れると意思表示すると、アンバーは「離れない」「一緒にいてほしい」と懇願していた。
またカリー氏によると、このふたつの人格障害は暴力を引き起こす可能性があるという。ジョニーは、DVの被害者は自分であり、アンバーは何度も自分を殴り、ペンキの缶やウォッカボトルを投げつけたと証言している。
しかし、イギリスの裁判所は昨年、ジョニーの訴えを退け、アンバーがDV被害であることを認めた。
カリー氏によると、ふたつの障害には相関関係があり、「注目を集めるために自分の容姿を利用する」という。
アンバーの弁護士は反対尋問でカリー氏の主張を偏見に満ちていると批判し、カリー氏は採用される前にジョニーに酒を振る舞われていたと指摘した。カリー氏は振舞酒について、「面接の一環に過ぎない」と反論した。
ジョニーはこの裁判で、自分の名誉と評判が2018年の記事で傷つけられたと証明する必要がある。しかし、ここまでの審理は二人の短い結婚生活と醜態にばかり焦点が当てられており、何が何だか分からなくなっている。
ジョニーはアンバーを殴ったことはないと主張している。しかし、アンバーはこれを否定し、英裁判所もこれを認め、ジョニーを暴力夫に認定とした。
アンバーの弁護士は26日の証言で、ジョニーの贅沢なライフスタイルの一端を垣間見せてくれた。
それによると、ジョニーは年に数回行くか行かないかというプライベートアイランドの管理費に年12万ドルを費やし、島の海岸線の一角にジョニーが過去に共演した俳優の名前をつけたという。
またアンバーの弁護士はこの島への最後の小旅行についても証言した。それによると、ジョニーはヨットの旅に不快感を覚え、ピーチで気を失い、ヘリコプターを急遽手配してゲストとともにどこかに消えたという。この島はその後、作家のJ・K・ローリング氏に売却されている。
一方、26日の証言者のひとりであるLA警察のサエンス氏は、アンバーが離婚を申請する数日前にジョニーが所有していたペントハウスを訪れ、その夜ジョニーと喧嘩した時にできたとされる顔の青アザを確認したと証言した。アンバーはその後、接近禁止を求める訴えを裁判所に起こしている。
カリー氏はサエンス氏の証言について、ジョニーの評判を落とすために主張しているに過ぎないと一蹴した。
サエンス氏はその夜のアンバーとのやり取りを詳細に説明できなかったが、「ジョニーのペントハウスがとても大きく感動したことはしっかり覚えている」と説明した。
厳しい裁判は数週間続くと予想されている。
ジョニーは25日、友人の俳優ポール・ベタニーに送ったメールで危機に直面した。
ジョニーはメールに「彼女を燃やそう」「彼女を燃やす前に溺れさせよう」と書いていた。そして、アンバーが死んだかどうかを確認するために卑猥な提案をした。
ジョニーはこのメールを「ジョーク」「ユーモア」と呼んだが、チームアンバーはこれを厳しく非難し、ジョニーを追求した。