◎ロシア軍のエネルギーインフラ攻撃は氷点下の寒さと相まって、ウクライナに深刻な被害をもたらすと懸念されている。
2022年11月25日/ウクライナ、首都キーウの暖房スポット(Efrem Lukatsky/AP通信)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領は25日、ロシア軍のインフラ攻撃により、600万世帯が停電下での生活を余儀なくされていると報告した。

ゼレンスキー氏は定例のビデオ演説で、「キーウの大部分とその他の主要都市で停電が続いている」と説明した。

国営電力会社ウクルエネルゴ社は25日、停電世帯数は23日から半減し、電力設備の復旧作業を急いでいると報告。ロシア軍のミサイル攻撃による電力網の被害は「困難な時期を過ぎた」と評価した。

しかし、それでも数百万人が厳しい寒さの中、暖房を使えずにいる。一部地域では断水も続いているようだ。

ゼレンスキー氏は「キーウとその周辺地域が最も大きな影響を受けている」と述べた。

またゼレンスキー氏は、キーウの多くの世帯の停電時間が24時間を超え、復旧の目途が立っていない地域もあると警告した。

南部オデーサ州、西部リビウ、東部ドニエプロペトロフスク州なども大きな被害を受けたという。

ゼレンスキー氏は市民に対し、節電を徹底するよう改めて呼びかけた。「通電した地域の住民はまだ多くの地域が停電していることを忘れず、節電に心がけてください...」

ウクライナ大統領府も同様の声明をツイッターなどのSNSに投稿し、「厳しい冬に備える必要がある」と呼びかけた。

一方、シュミハリ(Denys Shmygal)首相は25日、水道、発電所、医療機関、消防や医療サービスなど、国内のほぼすべての重要インフラが機能を取り戻しつつあると報告した。

シュミハリ氏はロシア軍のミサイル攻撃が続いていることを念頭に置き、「計画停電や予告なしの停電はいつ起きてもおかしくない」と指摘。防寒対策を整え、可能な限り食料を備蓄してほしいと呼びかけた。

ロシア軍のエネルギーインフラ攻撃は氷点下の寒さと相まって、ウクライナに深刻な被害をもたらすと懸念されている。

西側諸国はインフラへの攻撃を戦争犯罪と糾弾しているが、ロシアはこの主張を退けている。

南部ヘルソン市当局は25日、ロシア軍の攻撃が絶え間なく続いている影響で、多くの患者が避難を余儀なくされていると報告した。それによると、直近24時間のロシア軍による攻撃で民間人少なくとも10人が死亡、54人が負傷したという。今週の市内の民間人死者数は確認できているだけで15人に達した。

ロシアのミサイル攻撃は原発の運用にも影響を与えたものの、国際原子力機関(IAEA)は25日、4原発と外部電源(送電線)が再接続されたと報告した。

ロシアの支配下に置かれている南部ザポリージャ原発の外部電源は24日に復旧した。

2022年11月25日/ウクライナ、南部ヘルソン市、遺体を運ぶ市職員(Bernat Armangue/AP通信)
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