◎映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどに主演したデップ氏は元妻アンバー・ハード氏に対する家庭内暴力を暴露したタブロイド紙ザ・サン(The Sun)を訴えたが、昨年11月に敗訴し、控訴も棄却された。
2020年7月23日/イギリス、ロンドンの高等裁判所前、アメリカの俳優ジョニー・デップ氏(Matt Dunham/AP通信)

8月10日、スペインの映画製作者グループは、アメリカの人気俳優ジョニー・デップ氏がサン・セバスティアン国際映画祭の最高の名誉を授与することに異議を唱え、「妻を殴打した男」は賞にふさわしくないと述べた。

映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどに主演したデップ氏は元妻アンバー・ハード氏に対する家庭内暴力を暴露したタブロイド紙ザ・サン(The Sun)を訴えたが、昨年11月に敗訴し、控訴も棄却された。判事はザ・サンの記事とハード氏の訴えは「実質的に正しい」と裁定し、デップ氏は「妻を殴打した男」に認定された。

スペインの視聴覚メディア協会の会長を務めるクリスティーナ・アンドリュー氏は声明で、「デップ氏が来月開催されるサン・セバスティアン国際映画祭のドノスティア賞を受賞するという決定に驚いた」と述べた。ドレスティア賞(功労賞)は映画祭最高の名誉であり、生涯にわたる功績を認められた映画関係者に授与される。

アンドリュー会長は10日、AP通信の取材に対し、「この決定はサン・セバスティアン国際映画祭と関係者のリーダーシップに深刻な影響を与え、大衆に間違ったメッセージを発信することになるでしょう」と語った。「この賞は素晴らしい俳優であっても、虐待者に与えられるべきではありません」

アンドリュー会長は同映画祭の関係者を非難したうえで、「次のステップを検討している」と述べ、法的措置に出る可能性もあると示唆した。

サン・セバスティアン国際映画祭はスペイン北部バスク州ギプスコア県サン・セバスティアンで9月17日から25日まで開催される予定。デップ氏は22日に現地で賞を受け取ると伝えられており、3度目の出演で名誉を手にすると期待されているが、アンドリュー会長の動き次第では新たな問題に発展する可能性がある。

AP通信によると、ロサンゼルスにあるデップ氏の事務所は取材要請に応じなかったという。

イギリスの高等裁判所は今年3月、デップ氏の上訴を拒否したうえで、「元夫の決定を覆そうとする試みが成功する見通しはない」と述べた。

デップ氏は家庭内暴力に関する記事を掲載したワシントン・ポスト紙も訴えている。この裁判は最近、2022年4月に延期されることが決まった。

ハード氏は裁判の中でデップ氏の暴力、薬物およびアルコールの過剰摂取を告発し、「ジョニーはアルコールと大量の薬物に溺れ、私を打ちのめし、モンスターになった」と赤裸々に語った。「私はジョニーに平手打ちされ、押し込まれ、髪を引っ張られ、手榴弾のようにボトルを投げつけられました...」

デップ氏はハード氏の告発を却下し、「元妻は脅迫的な嘘つき」と主張したが、判事はハード氏の訴えを支持した。

ジョニー・デップ氏と元妻のアンバー・ハード氏(Getty Images/AFP通信)
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