◎ELNは1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。
コロンビアの左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」の戦闘員(Getty Images)

南米コロンビア北部アラウカ県の陸軍基地が正体不明の武装集団による襲撃を受け、兵士2人が死亡、21人が負傷した。国防省が17日、明らかにした。

それによると、犯行声明を出した組織は確認されていないものの、同国最大の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」による犯行で間違いないという。

ELNは1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。構成員数は2500~5000人と推定され、ベネズエラでも活動し、金鉱山での違法採掘、麻薬密売、誘拐などで利益を上げている。

政府とELNの停戦協定は先月失効。それ以来、ELNはアラウカ県の軍事施設や石油パイプラインを何度も攻撃している。

国防省によると、武装集団は陸軍基地近くに停めてあった貨物トラックの荷台からロケット弾を発射し、基地の入り口を警備する兵士らに向けて銃を乱射、逃亡したという。

同省の報道官は声明で、「ELNは自分たちに有利な停戦条件に応じるよう、政府に圧力をかけている」と述べた。

元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領は政府とコロンビア革命軍(FARC)が2016年に結んだ和平協定に参加していないゲリラや過激派との交渉を進めている。

しかし、ELNとの協議は難航。昨年8月に何とか停戦にこぎつけたものの、ELNはその後も各地で10代の若者を勧誘し、恐喝や誘拐によって活動資金を調達していた。

政府とELN間の停戦は8月末に失効し、更新されなかった。それ以来、ELNはアラウカ県とその周辺地域で活動を活発化させている。

国防省はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「アラウカ県の治安と安定を回復するために、断固とした決意で行動する」と書き込んだ。

同国南部の2地域ではFARCから分離したゲリラ「FARC-EMC」によるテロ攻撃が相次いでいる。

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