◎空軍はロシアの極超音速ミサイル「キンジャル」6発とその他のミサイル12発を撃墜した。
ウクライナ政府は16日、首都キーウに向けて発射されたロシア軍の弾幕をことごとく撃墜したと発表した。
それによると、空軍はロシアの極超音速ミサイル「キンジャル」6発とその他のミサイル12発を撃墜したという。
キンジャルはロシアの最新鋭兵器のひとつ。ロシア軍によると、それは空中発射型で、射程距離は最大2000km、音速の10倍で飛行し、迎撃は困難だという。
ウクライナ空軍は今月初めに米国製の地対空迎撃ミサイルシステム「パトリオット」でキンジャルを撃墜したと明らかにしていた。
しかし、ロシア国防省はキンジャル撃墜を否定し、そのうちの1発がパトリオット防空システムを破壊したと主張した。
ウクライナのSNSユーザーは「プーチン涙目」「さよならルカシェンコ(ベラルーシ大統領)、さよならキンジャル」などとコメントを寄せている。
ロシア軍はこの数週間、ウクライナの反転攻勢を前に、空爆を強化している。キーウにミサイルが撃ち込まれたのは今月8回目だ。
ロシアのショイグ(Sergei Shoigu)国防相は16日、「自軍はウクライナが主張するほどキンジャルを発射していない」と反論した。
ウクライナの主張が事実であれば、ロシアは自国のミサイル艦隊が誇る最高レベルのミサイルを撃墜されたことに不満を感じているだろう。
今回もパトリオットを含む西側同盟国が供与した防空システムが機能したとみられる。
ロシアは音速の10倍で飛行するキンジャルを撃墜することはできないと主張してきた。
しかし、ウクライナ政府は今月6日にキンジャルを初めて撃墜したと発表。西側のシンクタンクと専門家を驚かせた。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は今週、欧州を歴訪し、ショルツ(Olaf Scholz)独首相、マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領、スナク(Rishi Sunak)英首相らと会談し、数十億ドル相当の新たな軍事支援を確保した。
ウクライナ軍のザルジニー(Valeriy Zaluzhny)総司令官は16日の空爆について、「ロシアは北・南・東からキーウを攻撃しようとした」と説明した。
キーウ当局によると、今回の弾幕は過去最大規模で、ロシア軍は一度に発射できる最大数のミサイルを使ったという。
ザルジニー氏は撃墜した18発について、「黒海艦隊の巡航ミサイル9発と陸上ミサイル3発が含まれる」と述べた。
キーウ市内では撃墜されたミサイルの破片が降り注ぎ、火災が発生した。
クリチコ(Vitali Klitschko)市長によると、ロケットの破片が中心街に落下し、市内の動物園にも降り注いだという。スタッフと動物にケガはなかった。
AP通信の取材に応じたキーウの住民は、「自分のマンションの上で大きな爆発音を聞いた」と語った。
西側の支援により、ウクライナはミサイルを追跡・撃墜する能力を獲得したと考えられている。
SNSには「キーウの防空網が強化されたことに安堵している」といったコメントが多数寄せられている。
ロシアは今月初め、2カ月近く大規模なミサイル攻撃を控えた後、キーウへの攻撃を再開した。米シンクタンク戦争研究所はこの攻撃再開について、「ロシアはキーウに比較的安価な古いミサイルやドローンを撃ち込み、ウクライナの防空システムを疲弊させたいと考えている」と指摘している。