◎カーン氏は不信任決議で追放されたにもかかわらず、多くの有権者から支持を集めている。
パキスタン警察は21日、カーン(Imran Khan)前首相に対する捜査を開始すると発表した。
ロイター通信などによると、カーン氏は20日の政治集会で警察と司法を脅迫するような発言を繰り返したという。
カーン氏の「パキスタン正義運動(PTI)」とシャリフ(Shehbaz Sharif)首相の関係は悪化の一途をたどり、緊張が高まっている。PTIの支持者はカーン氏の自宅前に集まり、同氏が逮捕されれば議会を乗っ取ると宣言した。
カーン氏は今年4月に不信任決議で追放されて以来、政府と司法を厳しく批判している。
カーン氏の補佐官であるギル(Shahbaz Gill)氏は今月、民放テレビ局のインタビューで反乱を扇動したとして逮捕された。反乱の扇動は反逆罪にあたり、有罪が確定すれば死刑に処される可能性がある。
カーン氏は政治集会の中で、「首都イスラマバードの警察署長と女性判事がギル氏とPTI支持者を虐待した」と主張した。
またカーン氏はこの二人を名指しし、「私たちは行動を起こすつもりであり、覚悟すべきだ」と明言した。
地元メディアによると、カーン氏は反テロリズム法に違反した可能性があるという。この法律は国家公務員に対する脅迫を禁じている。
カーン氏が捜査の対象になったというニュースが一斉に流れると、イスラマバードのカーン邸前に数百人の支持者が集まり、「警察が行動を起こせば、我々はイスラマバード(議会)を乗っ取る」と宣言した。
カーン邸前に配備された警察官のひとりはロイター通信の取材に対し、「私たちは前首相を逮捕するのではなく、法と秩序を維持するために配備された」と説明した。
カーン氏は全国各地で解散総選挙を求める集会や演説を行っており、シャリフ政権・軍・司法を厳しく批判している。
一方、メディア規制当局は20日、カーン氏が政府に対するヘイトスピーチを行ったとして、テレビ局に演説の生中継を禁止するよう命じた。
カーン氏は21日の集会でこの措置に強く反発し、支持者に反政府デモを行うよう呼びかけた。「イムラン・カーンはどんな罪を犯しましたか?私は泥棒政権の決定を決して受け入れません...」
メディア規制当局はカーン氏の演説をユーチューブでライブ配信することも禁じている。
カーン氏は不信任決議で追放されたにもかかわらず、多くの有権者から支持を集めている。
PTIは先月、パンジャブ州の補欠選挙を制し、シャリフ政権を驚かせた。
多くの専門家が補欠選挙の結果に注目し、「今解散総選挙を行えば、カーン氏が首相に復帰する可能性がある」と予想している。
カーン氏は1996年にPTIを立ち上げ、2018年に首相に就任した。しかし、国の経済を立て直すことはできず、支持を失い、不信任決議で退陣した。
中露との関係を重視するカーン氏は不信任決議を「米国の陰謀」と非難したが、米国はこれを強く否定している。