◎ウクライナ大統領府は「ロシア軍の不注意で爆発した可能性がある」という見方を示した。
米国に拠点を置くプラネット・ラボ(Planet Labs)が公開した衛星写真によると、ウクライナ南部クリミア半島にあるロシア空軍の基地は壊滅したとみられる。
ロシア国防省は9日、クリミア半島西部の空軍基地で弾薬が爆発し、少なくとも1人が死亡、複数が負傷したと発表した。基地に対する攻撃はなかったとみられ、ウクライナ大統領府も関与を否定した。
プラネット・ラボが公開した写真は9日の爆発で基地、戦闘機、周辺の雑木林がほぼ完全に焼失したことを示している。
ウクライナ政府は関与を否定しているが、多くの専門家が弾薬の爆発でこの規模の焼失は起こらないと指摘している。
基地の主要滑走路は無傷のように見えるが、少なくとも戦闘機8機が破壊もしくは損傷し、クレーターのような跡がくっきり写っている。
クレーターのように見える跡は格納庫ではなく戦闘機が駐機していた場所に集中している。
ロシア軍は弾薬が爆発したと報告しているため、戦闘機の近くに置かれていた弾薬が爆発し、クレーターができたのかもしれない。
しかし、西側の専門家たちは戦況に大きな影響を与えるロシア空軍の厄介な戦闘機が自爆する可能性は低いと指摘している。
プラネット・ラボの衛生写真は基地が攻撃を受けた可能性があることを示唆している。
しかし、基地がどのように、何によって、そして誰に攻撃を受けたかは不明である。
ロシア国防省は弾薬の取り扱い規則が守られず、事故に至ったと主張している。
ウクライナ大統領府は「ロシア軍の不注意で爆発した可能性がある」という見方を示した。
レズニコフ(Oleksiy Reznikov)国防相は9日、ウクライナ公共放送のインタビューで、「占領地に建設されたロシア空軍基地のロシア兵は、危険な場所でタバコは吸うなという、ごく簡単なルールを破ったのだと思う」と語った。
ウクライナ軍はこの爆発でロシア軍機12機が破壊されたと報告したが、ロシアはこの発表を否定している。しかし、衛星写真には戦闘機と思われる残骸がはっきり映っていた。
英国防省は10日、大きな爆発が2回起こったことに言及し、攻撃の可能性を示唆した。また同省はウクライナ軍にはクリミアのロシア軍を攻撃する権利があるとした。
クリミア半島は公式にはウクライナの領土だが、2014年のクリミア侵攻でロシア軍と親ロシア勢力に占領され、住民投票の末、ロシアに併合された。
ロシア軍はクリミアへの攻撃を「自国領に対する脅威」「(地方政府の)存亡の危機」とみなす可能性がある。ロシアのメドベージェフ(Dmitry Medvedev)前大統領は、「クリミアを攻撃すれば審判の日がやってくる」と警告していた。
審判の日(最後の審判)はゾロアスター教とアブラハムの宗教が共有する終末論的世界観で、世界の終焉後に人間が生前の行いを審判され、天国行きか地獄行きかを決められるという信仰である。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は9日、クリミア半島の爆発には言及せず、「戦争はクリミアで始まり、クリミアで終わる」と述べ、領土を取り戻すまで戦争は終わらないと示唆した。