2020年11月26日 BBCニュース/エチオピア、ティグライの州都メケレ

28日、エチオピアのアビィ・アハメド首相は、政府軍が北部ティグライ地域の州都メケレを「完全に支配した」と発表した。

政府軍は25日からメケレを支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)への攻撃を開始していた。

TPLFはまだコメントを発表していない。

この地域の通信網は完全に遮断されたままであり、伝えられる情報が正確かどうかは分からない。

11月4日から始まった一連の紛争で少なくとも民間人数百人が殺害され、数万人が隣国スーダンに逃げ込んだ。

アハメド首相は声明の中で、「州都制圧は軍事作戦完了を意味する」と述べた。

「軍事作戦完了と戦闘終了を共有できることを嬉しく思う。神はエチオピアと市民を祝福する」

首相の声明によると、軍はTPLFに捕らえられた数千人の兵士を解放し、空港と地方事務所の支配権を取り戻したという。また、メケレへの侵攻は「市民に注意を払いながら実行した」と補足した。

エチオピア、北部ティグライ地域の州都メケレ

アナリストはメケレの住民(約50万人)がゲリラ戦に巻き込まれることを恐れていた

アハメド首相は「破壊されたものを再建するという重要な任務が待っている。町を避難した人々に返す」と述べた。

以前、TPLFのリーダー、デブレツィオン・ゲブレミチャエル氏はロイター通信の取材に対し、「メケレは激しい爆撃を受けている」と語っていた。

また、AP通信の報告によると、TPLFは声明で、「国際社会は大砲と軍用機で虐殺が行われていることを非難すべきだ」と促している。

アハメド首相は27日の会議で、「メケレの住民はアフリカの平和使節に保護されるだろう」と語った。

アフリカ連合(AU)議長国を務める南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は、3人の元大統領(モザンピーク、リベリア、南アフリカ)をエチオピアに派遣している。

しかし、和平交渉の可能性については言及されておらず、3人はティグライ地域への訪問を許可されていない。

国連はメケレへの攻撃は住民を巻き込む戦争犯罪につながる可能性がある、と懸念を表明していた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、安全に救援物資を輸送できる「人道的回廊」の確保を要求した。

26日、エチオピア当局は政府が管理する現地へのルートを開通したと述べ、「民間人の保護、救援物資の輸送などを国連機関と協力して行う」と約束した。

BBCニュースによると、隣国スーダンとティグライの国境に政府軍が配備され、難民の国外流出を止めているという。

ティグライについて知っておくべきこと

・2020年11月25日、政府軍、州都メケレへの攻撃を開始

・2020年11月22日、国連、エチオピア政府軍によるティグライ地域への「最後通告」について、市民を巻き込む致命的な戦争犯罪につながると懸念を表明。

・2020年11月22日、アビィ・アハメド首相がティグレ人民解放戦線(TPLF)に降伏する機会を与える。

・2020年11月、国連のアントニオ・グテーレス事務総長、「即時の一時停戦」を求める。

・2020年11月、国連、「本格的な人道的危機」が発生していると警告。

・2020年11月14日、TPLFが、近隣地域の空港などをロケット弾で攻撃

・2020年11月13日、国連はマイカドラの町で発生したと伝えられている大量殺戮について、事実であれば「戦争販売」の可能性もあると述べた。

・2020年11月、ティグライ地域、南西エリアに位置するマイカドラの町で、数百人が刺されるなどして死亡した。

・2020年11月4日、TPLFが政府軍の軍事キャンプを攻撃。TPLFは関与を否定している。

・2020年9月、アハメド政権はコロナウイルスへの対応として国内での選挙活動を禁じ、TPLFはこれに猛反発した。TPLFはこの制限を、「中央政権の独裁体制を強化する違法行為」と見なしている。

・国内最大の民族グループはオロモ民族。TPLFはこれに属する。

・オロモ民族グループとソマリア民族グループの衝突が長年続いてる。

・1970年代~1980年代、政府の崩壊、干ばつ、飢饉で100万人以上が死亡、約800万人が影響を受けたと伝えられている。指導者はマルクス主義の独裁者、メンギスツ・ハイレ・マリアム。

・1989年、TPLFは他の反政府組織と合併、エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)を結成。

・1991年、EPRDFの軍事攻勢により、メンギスツ・ハイレ・マリアム政権崩壊

・1991年7月、EPRDF、オロモ解放戦線(OLF)などが87名の国民議会を形成。エチオピア暫定政府(TGE)を設立。

・2018年4月2日、アビィ・アハメドが首相に就任。

・2018年7月、エチオピアとエリトリア国の首脳が20年ぶりに会談、和平協定に署名

・2018年10月25日、サーレ・ワーク・ゼウデが大統領に就任。エチオピア初の女性大統領。

・2018年の避難民数は推定140万人。

・2019年、アハメド首相がノーベル平和賞を受賞。

・政府とTPLFの緊張関係は年々悪化している。

・TPLFはエリトリア国との和平を認めていない。

オロモ民族グループによる虐殺(数十人規模)が横行。オロモに属するアハメド首相はこれを非難している。

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