◎IOCのトーマス・バッハ会長は北京滞在中に彭帥 選手と夕食を共にすると約束している。
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は失踪したテニススターの彭帥(ポン・シュアイ)選手を共産党主催の夕食会に招待する予定と伝えられている。
夏季五輪に3度出場した彭帥 選手は昨年11月、共産党の政治局常任委員会のメンバー兼元副首相である張高麗(ちょうこうれい)氏にセックスを強要され、性的暴行を受けたと告発し、行方不明になった。
彭帥 選手の告発文は全世界に拡散したものの、中国版ツイッターWeiboと中国のインターネット上のデータはすべて削除されてしまい、国内でこの事件に言及する人はほとんどいなくなったと信じられている。
バッハ会長は北京滞在中に彭帥 選手と夕食を共にすると約束している。
中国のメディアは彭帥 選手の情報を一切流さないが、北京入りしている西側のメディアは大会組織委員会とIOCに少なくとも2つ質問している。
「バッハ会長は彭帥 選手は元気でうまくやっていると言いましたが、本当ですか?」
「彭帥 選手とバッハ会長は本当に夕食を共にしますか?するのであれば、いつどこで?」
IOCのマーク・アダムス報道官は5日、彭帥 選手の事件を「非常にデリケートな問題」と呼び、質問を却下した。
バッハ会長は事件後、彭帥 選手とオンラインで対話したと信じられているが、対話の音声データは公開されていない。バッハ会長は11月の声明で「彭帥はうまくやっており、元気だ」と述べ、西側諸国、国際人権団体、女子テニス協会(WTA)と多くのテニス選手の不安をあおった。
IOCもバッハ会長の発言以来、事件についてほとんど何も話していない。
バッハ会長は4日の記者会見で、「彭帥と直接会うことができれば、彼女の健康と安全が保証されていることを確認できるだろう」と述べ、約束通り彭帥 選手を夕食会に招待する予定と示唆した。
中国の国営メディアは事件後、彭帥 選手が公の場に登場したと何度か報じ、シンガポールの中国語日刊紙はインタビュー記事を掲載したが、その信ぴょう性には疑問が残る。
IOCのアダムス報道官は記者団に、「私たちは北京で彭帥 選手と会談する予定であり、今のところその予定に変更はない」と述べた。「ただし、会談の詳細は公表されない予定です。ご理解ください...」
AFP通信などによると、彭帥 選手はすでに北京入りしており、バッハ会長と一緒にメダルセレモニーに登場する可能性があるという。
アダムス報道官は、「私たちは彭帥 選手の権利を尊重します」と強調した。「彭帥 選手が何か言いたいのであれば、IOCは彼女の権利を尊重します。特に言いたいことがなければそれまでです」
彭帥 選手は昨年末にシンガポールの聯合早報(れんごうそうほう)が報じたインタビュー記事の中で告発について、「プライバシーの問題であり、多くの誤解を招いたが、言うことは特にない」と語っていた。
西側の主要メディアはこの発言に否定的な反応を示し、ソーシャルメディアには、「共産党は彭帥の家族を人質に取っている」「彭帥は銃口を押し付けられている」などといった投稿が相次いで寄せられた。