◎基礎疾患や医療上の理由でワクチンを接種できない人と妊婦は免除される。
2月1日、オーストリアで18歳以上の全国民にコロナワクチン接種を義務付ける法律が施行された。一部の西側諸国は医療従事者や高齢者にワクチン接種を義務付けているが、18歳以上を対象としたのはオーストリアが初めて。
議会は1月20日の投票で法案を可決した。(賛成137ー反対33)
保健当局と一部の専門家はワクチン接種が伸び悩んでいることに懸念を表明し、義務化を擁護している。完全接種率は1月28日時点で人口の約74%。
法律は2024年1月末まで有効で、それ以前にコロナが終息すれば失効を早める予定。地元メディアによると、当局は来月中旬からワクチン接種の実績を確認する予定だという。
接種証明を提示できない人は必要書類の提出を求められ、拒否すると最高600ユーロ(約78,000円)の罰金を科される。なお、基礎疾患や医療上の理由でワクチンを接種できない人と妊婦は免除される。
正当な理由なく罰金の支払いを拒否すれば、罰金額は最大3,600ユーロ(約47万円)に引き上げられる可能性がある。
政府は当初、14歳以上の全国民(外国人居住者含む)を対象にすると述べていたが、協議の結果、18歳以上に変更された。
首都ウィーンでは義務化に反対する抗議デモが昨年11月末頃から続いており、多い日には40,000人を超える抗議者が行進に参加した。
1月30日の抗議デモに参加した女性は地元メディアの取材に対し、「私はブースターを接種したが、強制には反対する」と述べた。
30日のデモを主催した団体は歓声を上げる群衆に、「ワクチン強制は戦後最大の大量虐殺」と呼びかけ、政府に抗議し続けるよう訴えた。
オーストリア放送協会が最近行った世論調査によると、回答者の大半が法律の効果に疑問を抱いていたという。一部のアナリストは、「法律がどの程度厳格に施行されるかを注意深く見守る必要がある」と指摘している。
イギリスで活動するオーストリアの政治アナリスト、トーマス・ホーファー氏はソーシャルメディアに、「法律が厳格に扱われるかどうかはコロナの感染状況にかかっている」と投稿した。「政府もコロナが終息に向かえば法律は必要ないと考えるかもしれません。しかし、現在の感染状況を考えると、政府は近いうちに取り締まりを強化するでしょう...」
オーストリアの新規陽性は先月中頃から急増し、直近1週間の陽性は1日あたり約33,000件まで上昇した。死亡者は20人以下を維持しているものの、病床使用率は多くの地域で80%を超えている。オーストリアの人口は大阪府とほぼ同じ。
極右の自由党は法律に強く反対し、訴訟を起こす予定と伝えられている。キックル党首は1月20日の議会演説で「ワクチン強制は全体主義の扉を開く」と述べ、政府を批判した。