◎まもなく就任1年を迎えるジョー・バイデン大統領は記念日の前に痛烈な敗北を喫し、失望を表明した。
2022年1月19日/ワシントンD.C.議会議事堂、民主党のジョー・マンチン上院議員(上院テレビ/ABCニュース)

1月19日、米議会上院は基本的人権のひとつである投票権を確保するバイデン政権の法案を否決した。

まもなく就任1年を迎えるジョー・バイデン大統領は記念日の前に痛烈な敗北を喫し、失望を表明した。

民主党は中道右派のキルステン・シネマ上院議員とジョー・マンチン上院議員の説得に失敗し、法案は賛成48ー反対52で否決された。

バイデン大統領は投票後の声明で失望を表明したが、あらゆる手段を模索し、民主主義を破壊しようとする勢力に勝利すると誓った。

民主党の急進左派は共和党主導の州で進められている投票権の改正に強く反対しているが、一部の専門家は「政府に米国民と認められた個人の投票権は保証される」と主張している。法律の内容は州によって異なるものの、米国籍を持つ個人の投票権は確実に保証されている。

民主党のラファエル・ワーノック上院議員は記者団に、「これは道徳の問題です」と不満を表明した。

バイデン大統領が提出した法案は、投票日を国民の祝日とし、すべての選挙で期日前投票と郵便投票を保証する。期日前と郵便はコロナの影響で需要が高まっている。また司法省に州の選挙結果(主に異議申し立て)に干渉できる権限を与えることも期待されていた。

民主党のチャック・シューマ―上院院内総務は同僚の説得を試みたが、交渉は失敗に終わった。なお、仮に民主党全員が法案に賛成したとしても、共和党の議事妨害をクリアできる60票はほぼ間違いなく確保できないため、法案が可決される可能性は皆無だった。

一方、共和党のミッチ・マコーネル上院少数党首は投票法案の廃止を称賛したうえで、議事妨害規則を見直そうとする考えに深刻な懸念を表明した。ドナルド・トランプ前大統領も議事妨害規則の見直しを求めたが、当時多数派だった上院共和党は法案に反対し、否決した。

マコーネル上院少数党首は民主党員の意見を「ヒステリー」と非難し、保留中の議事妨害規則変更法案を「乗っ取り」と呼んだ。「議事妨害規則の見直しは上院を破壊するに等しい蛮行です!」

連邦議会の上院議員は法案に反対する権利を与えられており、ひとりでも法案に反対する議員がいれば議事妨害(フィリバスター)が発動する。

議事妨害中、議員は好きなだけ演説を行うことが可能で、ひとりで20時間以上しゃべり続けた議員もいる。これを阻止するためには上院の5分の3以上(60票)の賛成を集めなければならず、現在の勢力(民主党50ー共和党50)で阻止することはほぼ不可能と考えられている。なお、予算法案に関しては議事妨害の影響を受けない特別なプロセスを使うことができる。

民主党のマンチン上院議員はバイデン大統領の記者会見を引用し、議事妨害の維持を擁護した。「規則を見直せば、合衆国憲法は多数派の好きなように書き換えられ、米国をバラバラに引き裂くでしょう!」

アラスカ州選出の共和党員で穏健派のリーサ・マーカウスキー上院議員は有権者の投票権を確保するにあたり、「米国の民主主義を確立するためには、多数派ではなく超党派で問題に取り組む必要がある」と強調した。「2020年の選挙結果を覆そうとした候補の問題を繰り返すのではなく、超党派で前に進むことが重要です...」

2022年1月19日/ワシントンD.C.ホワイトハウスのイーストルーム、ジョー・バイデン大統領(Susan Walsh/AP通信)
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