◎米国の直近1週間の新規陽性は1日あたり約48万件に達し、この2週間で3倍以上に増加した。
2021年12月28日/ユタ州ソルトレイクシティのコロナ検査所(Rick Bowmer/AP通信)

1月4日、ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、米国の3日のコロナウイルス新規陽性は初めて100万件を超えたという。

ホワイトハウスの首席医療顧問であるアンソニー・ファウチ博士は4日、「新規陽性はほぼ垂直に増加している」と述べ、ピークに達するのは数週間先になる可能性があると指摘した。

多くの医療専門家が症例の急増に懸念を表明しているが、ファウチ博士を含む一部の公衆衛生専門家は「新規ではなく入院患者に焦点を当てるべき」と主張している。全米の入院患者は確実に増加しているものの、新規ほどの勢いはない。

ファウチ博士は2日に放送されたABCニュースのインタビューの中で、「新規陽性者の大半は無症状または軽度であり、症例の総数ではなく入院患者に焦点を当てる方が賢明」と述べた。

しかしファウチ博士は、重症化する患者の大半がワクチン未接種者であることに懸念を表明し、国民に行動を促した。「未接種者の大半は軽度もしくは無症状ですが、接種を終えた人に比べると重症化リスクは高く、毎日数百人が亡くなっています...」

州の保健当局は新規入院患者の大半がワクチン未接種者と報告している。イリノイ州はここ数カ月の患者の85%が未接種者だったと報告した。

米国の直近1週間の新規陽性は1日あたり約48万件に達し、この2週間で3倍以上に増加した。

一方、全米の入院患者はようやく10万人を超えたところである。保健社会福祉省のデータによると、全米の入院患者が10万人を超えたのは昨年9月以来だという。

先週の新規入院患者は先々週から約63%増加したが、昨年のピーク時の水準には達していない。

直近1週間の死亡者数は1日あたり1,200~1,300人。これも昨年1月の3,400人を大きく下回っている。

公衆衛生の専門家は、「これらの数値を考慮すると、流通しているコロナワクチンがオミクロン株を含む変異株の重症化リスクを抑えることは明らかであり、さらに、オミクロン株の重症化リスクは他の変異株ほど高くない」と指摘している。

疾病予防管理センター(CDC)が4日に公表したデータによると、オミクロン株は先週確認された新規陽性の95%を占めていたという。

コロンビア大学グローバルヘルスセンターのワファ・エル・サドル博士はAP通信のインタビューの中で、「新規陽性より入院患者と死亡者数に焦点を当てるべき」と述べた。「現在と一昨年の状況は全く異なります。ワクチン接種が進んだ今、私たちは症例数ではなく重症患者と死者に焦点を移すべきです...」

1月4日の新規陽性には年末年始の報告遅れが反映された可能性があるため、1日あたりの陽性数より1週間の平均の方が信頼性が高いと信じられている。

カリフォルニア大学の公衆衛生専門家であるアンドリュー・ノイマー教授は、「症例数の重要性が失われつつある」と指摘した。「新規陽性数は完璧ではありません。データをひとつ選択する必要があるとすれば、入院患者数を選ぶべきです」

一方、生物医療科学の研究と教育を行っているスクリプス研究所のエリック・トポル所長は、「新規陽性の数値を放棄すべきではない」と指摘した。「同時に、私たちは新規陽性者のごく一部が入院、死亡していることを理解する必要があります...」

シアトルのワシントン大学の健康専門家であるアリ・モクダッド教授はAP通信に、「新規陽性はコロナのホットスポットを示し、感染の波がピークに達したかどうかを確認するうえで欠かせない」と述べた。医療機関、企業、学校は閉鎖を決断する際、主に新規陽性者数を参考にしている。

モクダッド教授は新規陽性が爆発的に増えたという理由で「数値の公表を諦めるべきではない」と警告した。「国民は波がピークに達したかどうかを知りたいと思っています。ルールを変更して現在の失敗(感染拡大)をカバーすることは到底容認できません...」

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