◎10月22日の新規陽性者数は15,410件、死亡者は357人。直近1週間の陽性者は1日あたり約15,000件、死亡者は約400人。ルーマニアの人口は約1,900万人。
ルーマニアの現地メディアによると、政府はコロナウイルスの猛攻に圧倒されている医療機関を救うために、より厳しい制限の導入を承認したという。
首都ブカレストの大学病院で働いている医師のペトル・フィリップ氏はAP通信の取材に対し、「私は週100時間働いています」と述べた。
人口約1,900万人のルーマニアのワクチン展開は極めて順調に進んでおらず、少なくとも1回接種した人は10月21日時点で人口の約35%、接種を終えた人は約30%にとどまっている。その結果、脆弱な医療システムはコロナ患者の波に圧倒された。
保健当局のまとめによると、10月22日の新規陽性者数は15,410件、死亡者は357人。直近1週間の陽性者は1日あたり約15,000件、死亡者は約400人。
政府は医療機関にかかる圧力を緩和させるためのより厳しい制限を承認した。制限は10月25日から1カ月続く予定。
<ルーマニアの新しい制限>
・午後10時以降の外出禁止
・小売店の営業時間は午後9時まで
・すべての飲食店は30日間営業停止
・国内の学校は全て閉鎖
・公共の場でのマスク着用義務化
ブカレストのフィリップ医師はAP通信の取材に対し、「病院はワクチンを接種していない患者で埋め尽くされている」と述べた。「彼らはワクチンを信じていません。しかし、国の窮状を見て考えを改めるでしょう。ルーマニアの医療制度は崩壊し始めています」
保健当局によると、国内の重症患者は21日の時点で1,800人を超え、亡くなった患者の90%以上がワクチン未接種者だったという。
フィリップ医師はAPに、「死体安置所と病院の外に集まった犠牲者の家族や知人は悲嘆に暮れています」と述べた。
地元メディアによると、ブカレストを含む都市の医療機関ではコロナ患者の入院待ち渋滞が複数確認されたという。クラウス・ヨハニス大統領は20日の声明でコロナ渋滞を「ひどいドラマ」と呼び、感染拡大に対する備えが不足していたと認めた。
ルーマニアの医師会は今月初め、政府に「絶望の叫び」と題する公開書簡を送り、市民にワクチンを速やかに接種するよう強く促していた。
政府は医師会の絶望の叫びと現場の窮状を受け、世界保健機関(WHO)にコロナ問題を担当する医療専門家のヘザー・パポウィッツ博士を派遣するよう要請した。
パポウィッツ博士はブカレストで22日から始まった72時間ワクチン接種マラソンのオープニングセレモニーに出席した。当局によると、最初の8時間で13,000人以上がワクチンを接種したという。
22日にワクチンを接種したある女性は地元メディアに、「政府はワクチンの有効性に関する情報を発信しなかった」と述べた。
保健当局によると、22日にのワクチン接種数は過去最高の約13万回を記録したという。しかし、WHOは、「現在の接種ペースでは各国が目標としている完全接種率70%に達するまでに3年近くかかる」と危機感をあらわにした。
ベイブス・ボリャイ大学の保健労働力研究政策センター所長を務めるマリウス・イオヌット・ウングレアヌ博士はAP通信に、「ルーマニアはワクチンの展開に失敗した」と述べた。「政府の対応は遅すぎます。あまりに遅い...」