◎グリーンパス規則に従わない労働者は雇用主から罰金を科され、公共部門で働く者はパスなしで5回出勤すると停職処分を受ける可能性がある。
2021年10月9日/イタリア、首都ローマ、ワクチンパスポートに反対する抗議集会(Getty Images/AFP通信)

イタリアの現地メディアによると、政府は予定通り10月15日から職場でのグリーンパスポート提示を義務付けるため、ワクチン接種率の低い地域で混乱が生じる恐れがあるという。

グリーンパス規則に従わない労働者は雇用主から罰金を科され、公共部門で働く者はパスなしで5回出勤すると停職処分を受ける可能性がある。

<イタリアのグリーンパス取得条件>
・ワクチン接種を終えた人。
・過去6カ月以内に少なくとも1回ワクチンを接種した人。
・コロナウイルスから回復したことを証明できる人。
・過去48時間以内の検査で陰性を証明できる人。

保健当局のデータによると、国内で少なくとも1回ワクチンを接種した人は10月14日時点で人口の約76%、接種を終えた人はまもなく70%に到達するという。12歳以上で少なくとも1回接種した人は85%を超えている。

しかし、国内の労働者推定250万人がまだワクチンを接種しておらず、一部の専門家は過激な右翼団体がストライキに乗り出し、市場に影響を与える可能性があると警告した。

ワクチンパスポートの義務化は世界で最も厳しいコロナ対策のひとつだが、多くの国が採用を進めている。

市場調査コンサルティング会社イプソスがイタリアで行った最新の世論調査によると、回答者の約3分の2がグリーンパス規則に賛成したという。

しかし、右翼は10月9日に首都ローマで激しい抗議デモを行い、労働組合事務所や医療機関を襲撃した。一部の議員は先週、暴動を主導したとされる極右フォルツァヌオーヴァ党を非合法化するよう政府に求めた。

地元メディアによると、規則が導入される15日にはさらに激しい抗議デモが行われると予想され、一部の団体はストライキを計画している可能性があるという。

アドリア海に面する北部の貿易拠点トリエステの港湾労働者約950人のうち、ワクチンを接種した人は40%ほどと伝えられており、サプライチェーンに深刻な影響が出ると懸念されている。地元メディアによると、ミラノの中心部でも公共交通機関の運行に影響が出る恐れがあるという。

トリエステの港湾組合のステファノ・プザー氏は地元メディアのインタビューの中で、「経済を止める時が来た」と語った。「ストライキは政府に私たちの要求を示す唯一無二の手段です。ワクチンを接種しないという自由を選択した労働者の多くが行動するでしょう」

イタリア政府は今年6月にグリーンパスを導入し、レストラン、バー、その他の商業施設を利用する際の提示を義務付けた。

マリオ・ドラギ首相率いる連立政権はコロナワクチン接種およびそれに関連する規則を加速させると誓い、多くの国民が規則に賛成し積極的にワクチンを接種した。

一部の専門家は、「閣僚はワクチン接種が順調に進んだため、混乱は生じないとたかをくくっていた」と指摘した。

地元メディアによると、イタリアに出入りするトラック運転手の半数以上はワクチン未接種者もしくは欧州医薬品庁の承認を得ていないワクチンを接種した外国人であるため、グリーンパス規則は運送業界全体に打撃を与える恐れがあるという。

トリエステの港湾団体は政府にグリーンパス規則の施行を10月末まで延期すればストライキを中止すると打診したが、政府はこの要求を却下した。

一方、国内の薬局を統括する団体は、グリーンパスの取得条件のひとつである陰性を確認する検査キットの取り扱いで混乱が生じると警告した。「ワクチンを接種していない数百万人に検査キットを提供することは難しいでしょう...」

労働組合は政府に検査の無料化を要求したが、却下されている。極右フォルツァヌオーヴァ党のマッテオ・サルヴィーニ党首も検査の無料化を求めていた。

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