◎フロリダ州当局は2つの郡の学区に対し、生徒のマスク着用義務化を廃止しなければ教育委員会の予算の一部を凍結すると脅迫したと。
米主要メディアによると、フロリダ州当局は2つの郡の学区に対し、生徒のマスク着用義務化を廃止しなければ教育委員会の予算の一部を凍結すると脅迫したという。
ブロワード郡とアラチュア郡の教育委員会は20日に州当局から警告を受け、すべての生徒にマスク着用を義務付けるという規則を取り消すための猶予を48時間与えられた。
ブロワード郡の学区はフロリダ州で2番目に大きく、生徒数は約27万人、教育関連の年間予算は約54億ドル（6,000億円）。アラチュア郡の生徒数は約3万人、予算は約5.4億ドル（600億円）。
州の教育委員会を取りまとめるリチャード・コーコラン氏は2つの学区に宛てた声明の中で、「州法に違反し、保護者の権利を侵害する行為を容認することはできない」と述べた。
コーコラン氏によると、2つの学区は保護者の権利とロン・デサンティス州知事が7月下旬に署名した州知事令に違反しているという。フロリダ州を含む共和党主導の州は、マスク義務化やコロナウイルス対策を制限する州法を制定し、物議を醸している。
ドナルド・トランプ前大統領の後継者と目されているデサンティス州知事は州内の全ての学区に、生徒にマスクの着用を義務付けないよう要求し、州の保健および教育部門に生徒のマスク着用を保護者が選択できるようにする規則を作成するよう命じた。
デサンティス州知事によると、マスクは子供の発達に有害である可能性があり、年少の子供はマスクを適切に着用できず意味がないという。しかし、ブロワード郡とアラチュア郡の教育委員会はデルタ株の爆発的な感染拡大が州の医療機関に大きな負担をかけている現状を鑑み、生徒のマスク着用義務化を決断した。
疾病管理予防センター（CDC）によると、フロリダ州の直近7日間の平均症例は1日あたり約20,300件だったという。州のコロナ入院患者は約17,000人に達し、そのうち約3,500人が集中治療室（IOC）で酸素投与を受けている。
ブロワード郡とアラチュア郡の教育委員会は当初、マスクの着用を保護者に任せていたが、理事会は今週規則を強化し、全ての生徒にマスク着用を義務付けた。また、州最大の学区であるマイアミデイド郡の教育委員会も今週、全ての生徒にマスク着用を義務付ける規則を可決した。なお、アレルギーや疾患などの影響でマスクを着用できない生徒は対象外。
AP通信によると、ブロワード郡とアラチュア郡は指示に従わなかった場合、教育委員会委員の報酬に関する情報を提出しなければならないという。その後、州当局は委員の給与（月収）に等しい額を年間予算から強制的に差し引くと伝えられている。アラチュア郡の教育委員会委員の年収は約40,000ドル（440万円）、ブロワード郡は約46,000ドル（500万円）。
一部の保護者はマスク着用義務化に反対しており、各地で抗議デモや賛成派に対する嫌がらせを行っている。
