◎ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、アメリカの10日の新規陽性者数は約16万件、直近7日間の平均症例は約12万件、10日の死亡者数は約3カ月ぶりに1,000人を超えたという。
米主要メディアによると、デルタ株のホットスポットになった一部地域の医療機関の看護師と医療スタッフが不足しており、医療崩壊が現実味を帯びてきているという。
フロリダ州、アーカンソー州、ルイジアナ州、そしてオレゴン州の医療機関は入院患者の急増に直面し、医療関係者をひどく疲弊させた。
ABCニュースによると、一部の医療機関では州政府の悲惨なコロナ対策に憤慨する看護師が職場を離れ、残された職員はコロナ患者の波にのまれ、燃え尽き症候群もしくは体調不良で倒れる人が相次いでいるという。
南部フロリダ州の医療機関はデルタ患者で埋め尽くされており、新規患者を搬送する救急機動部隊と消防当局は難しい対応を迫られている。同州セントピーターズバーグの病院関係者によると、救急車内で数時間待つのは当たり前だという。
ルイジアナ州の公衆衛生責任者を務めるジョー・カンター氏はAP通信の取材に対し、「心臓発作を起こした患者は6つの病院に跳ね返され、その後何とかニューオーリンズの集中治療室（IOC）にピットインした」と述べた。「ICUとベッドはコロナ患者に占領されています。州の医療体制はガタガタであり、至急看護師と医療スタッフを確保しなければなりません」
アリゾナ州ツーソンの病院に務めていた看護師のミシェル・トーマス氏はデルタ株の波にぶち当たり、何とか3週間奮闘したが、その後燃え尽き、退職した。「私は燃え尽きました。もう無理でした。休む時間も寝る時間もなく、体力は限界を超え、タップアウト（ギブアップ）しました」
トーマス氏は助かる見込みの薄い患者と家族の最後の別れを支援するために、携帯電話などを使って別れの場を24時間体制で提供し続け、打ちのめされた。「家族の嗚咽と患者の死にたくないという声を何回も聞きました...」
フロリダ州最大の医療機関であるマイアミのジャクソン・メモリアル・ヘルスシステムのジュリー・スタウブ副社長は、「コロナウイルスの影響で燃え尽き症候群が拡大し、多くの看護師を失った」と述べた。同院は他の州の報酬の2倍から3倍を支払うと約束しているが、それでも看護師は集まらないという。
スタウブ副社長は、「業務時間の延長に応じた看護師に追加ボーナスを支払うようにした」と述べた。看護師は通常の残業代だけでなく、追加の12時間シフト1回ごとに500ドル（約56,000円）を受け取れるが、看護師の確保は難しいという。
「看護師の奪い合いが始まっています。私たちは働く気のある看護師を探しています。働く期間は数週間、1カ月、数カ月、なんでもOKです。看護師はどこにいますか？...」
フロリダ病院協会によると、フロリダ州の医療機関の約70％が来週、重大な人手不足に直面する可能性が高いという。
一方、疾病予防センター（CDC）の新しいマスクガイドラインに反対しているテキサス州のグレッグ・アボット州知事は9日、デルタ株の感染拡大が州の医療機関を圧倒しているため、当局者に州を超えて追加の医療スタッフを確保するよう命じた。
またアボット州知事はテキサス病院協会に書簡を送り、州内の全ての病院に患者の選択を止めるよう要求した。
欧州の一部でもデルタ株の急増が確認されているが、アメリカのような事態に陥っている国は今のところない。イギリスの9日時点のコロナ入院患者は5,900人を超えたが、死亡者数は50人前後を維持している。
イタリアも入院患者の急増に悩まされているが、9日の死亡者数は22人だった。
ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、アメリカの10日の新規陽性者数は約16万件、直近7日間の平均症例は約12万件、10日の死亡者数は約3カ月ぶりに1,000人を超えたという。
新規症例が急増した影響で全国の入院患者は約50,000人に急増し、医療機関は昨冬の爆発的感染を上回る波に圧倒された。
全米看護師連盟のジェラルド・ブローガン部長は声明で、「看護師を失えば、私たちは患者と一緒に倒れるだろう」と述べた。
デルタ株はハワイにも上陸し、感染拡大を引き起こした。ホノルル病院の救急科で働く看護師のパトリック・スウィッツァー氏はAP通信に、「治療を必要とするある患者は、スタッフ不足の影響で24時間以上待機を余儀なくされた」と語った。
CDCによると、フロリダ州のパンデミックは過去最悪を上回り、落ち着く兆候は見られず、9日の新規症例は過去最高を更新し、2,800人以上がICUでの集中治療を必要としているという。
