◎中国のメディアはデルタ株の感染が拡大しているというニュースを連日連夜放送し続けており、共産党のコロナ対策を主導する呼吸器専門家は「深刻な懸念」を表明したと報じた。
2021年7月28日/中国、江蘇省南京に設置されたコロナ検査所(Getty Images/AFP通信)

中国の国営メディアによると、国内のコロナウイルス感染状況は昨年武漢市で発生したパンデミック以来最悪の規模に達し、懸念が高まっているという。

中国のメディアはデルタ株の感染が拡大しているというニュースを連日連夜放送し続けており、共産党のコロナ対策を主導する呼吸器専門家は「深刻な懸念」を表明したと報じた。

指導部は厳しい移動制限を課し、ここ数日の検査数は数百万人に達した。

保健当局によると、国内のワクチン接種数は16億回を超えたが、接種を終えた人の数は明らかにされていない。

江蘇省東部の南京市で最初に確認されたデルタ株は少なくとも15の都市に広がったと伝えられている。国営メディアは、「最初のデルタ株陽性者は南京空港関係者で、7月10日に市内に到着したロシア発の便のゴミを不適切に扱った」と報じたが、それ以上の情報は明らかにされていない。

当局は先日の声明で、国内旅行が最盛期を迎える時期にデルタ株が空港に持ち込まれたことで、省をまたぐ大規模な感染拡大につながったと述べた。

国営メディアによると、湖南省中央部の株洲(しゅしゅう)市当局は、集団検査とワクチン接種体制を確立するまでの間、市民100万人以上に3日間外出しないよう命じたという。市当局者は地域の感染状況を「厳しく複雑」と表現した。また同省の他の都市でもデルタ株が確認されており、省の大部分が緊急封鎖されたと伝えられている。

今回の感染拡大は、昨年武漢市で発生した最初のパンデミック以来最大。共産党は昨年、武漢市のパンデミックを抑え込んだ。

デルタ株を最初に検出した江蘇省南京市では、住民約930万人(訪問客含む)が検査の対象となり、当局は数十万人が生活する一部地域をロックダウンした。

しかし、デルタ株は南京市から江蘇省の人気観光地に入り、小規模なクラスターを引き起こした。当局は南京空港から江蘇省に旅行した観光客がデルタ株を持ち込んだ可能性が高いと述べている。

保健当局は湖南省の人気観光地のひとつである張家界(ちょうかかい)市の劇場に焦点を合わせている。現地メディアによると、当局は舞台を鑑賞し地元に戻ったとされる約5,000人を追跡しているという。

地元メディアは、「張家界市の観光施設は全て閉鎖され、観光客は街を出る前にコロナ検査を義務付けられた」と報じた。

デルタ株は首都北京にも到達し、いくつかの施設で感染者が複数確認されたと伝えられている。報道によると、当局は北京への立ち入りを原則禁止し、仕事などの事情でどうしても入らなければならない人のみ、検査で陰性を証明できれば立ち入りを許可しているという。

先月豪雨災害に見舞われた河南省北部の鄭州(ていしゅう)でもデルタ株の感染拡大が報告された。また、デルタ株は初めてコロナウイルスを検出した武漢市にも広がり、懸念を引き起こした。

国営の環球時報はデルタ株の拡大を「武漢以来最も深刻」と述べ、別の国営メディアは社説で、南京市の感染対策の不手際を非難した。「ひとつのミスが全国の省や都市に拡大しました。私たちは過去の失敗と経験を活かし、今回の過ちを反省したうえで、体制を強化しなければなりません...」

報道によると、ワクチン接種を終えた一部の人のデルタ株感染も報告されたという。

中国疾病対策予防センター(中国CDC)の研究者は7月31日の記者会見で、「ワクチン接種を終えた人もデルタ株に感染する可能性がある」と語った。

一部のアジア諸国は中国のシノバックとシノファームワクチンの効果に疑問を呈しているが、世界保健機関(WHO)はこの両ワクチンの効果を認め、緊急使用を許可している。

2021年7月28日/中国、江蘇省南京に設置されたコロナ検査所(新華社通信/AP通信)
アフィリエイト広告
スポンサーリンク