◎ロシアの医療当局は猛烈な第三波に直面しており、1日あたりの死亡者数は6月末頃から700人前後を維持している。
ロシアの保健当局によると、7月21日のコロナウイルス新規陽性者数は23,164件、死亡者数は過去最高に迫る772人に達したという。
ロシアの医療当局は猛烈な第三波に直面しており、1日あたりの死亡者数は6月末頃から700人前後を維持している。
しかし、政府は厳しい制限の導入を拒否し、代わりにマスクの着用を徹底するよう国民に呼びかけた。
政府は4月、新規症例がピーク時の約3分の1まで減少したことを受け、ほとんどの制限を解除した。ウラジーミル・プーチン大統領は6月初めに開催された経済フォーラムの中で、「人々の生活はまもなく以前の状態に戻るだろう」と述べていた。
しかし、インドで最初に確認されたデルタ株が6月中頃から急速に広がり、新規症例と死亡者数は急上昇した。
レニングラード地域の医療機関に務める女性医師はABCニュースの取材に対し、「今回の感染急拡大は昨年末の第二波より強く感じる」と述べた。「最初の波は初めての経験だったため苦労しました。第二波は第一波よりはるかに強力でした。そして今回の第三波は感染率が非常に高く、第二波より苦労しています」
多く専門家がロシアの公式死亡者数は過少報告されていると指摘する。7月23日時点の累計死亡者数は14.8万人、累計感染者数は596万件。
最近公開された専門家の「過剰死亡」の推定値によると、昨年3月から今年6月の間にロシア国内でコロナおよびそれに関連する疾患で死亡した人は約55万人にのぼる可能性があるという。
超過死亡率は特定の集団の死亡率が一時的に増加し、本来想定される死亡率を超過した割合のことで、伝染病、パンデミック、飢饉、戦争などによって引き起こされる。
ロシアのコロナウイルスデータを追跡しているデータアナリストのアレクサンダー・ドラガン氏は地元メディアのインタビューの中で、「私たちは嵐の真っ只中にいる」と述べた。
政府は6月までに制限をほとんど解除し、レストラン、バー、ショッピングモールなども営業を再開できた。しかし、6月中頃に症例が急増したため、一部の地方自治体は独自の制限を再発効し、政府も一部の企業にテレワークを推奨したうえで、バーの営業時間を午後11時までとした。
しかし、制限はとても緩く、市民の生活にほとんど変化は見られなかった。サンクトペテルブルクの政府当局はユーロ2020の開催を許可し、国内だけでなく国外からも多くのサッカーファンが集まり、デルタ株の感染拡大に拍車をかけた。
サンクトペテルブルクの医療当局者はABCニュースの取材に対し、「市内の病院は6月中頃からほぼ満室の状態が続いている」と述べた。「先週、状況は多少改善しましたが、最盛期には多くの患者が廊下で治療を受けていました」
一部の医師や専門家は6月初めのプーチン大統領の演説と、「パンデミックはまもなく終わる」という誤った情報および気の緩みが強力な第三波につながったと非難した。
プーチン大統領はロシア産ワクチン「スプートニクV」でコロナウイルスに打ち勝つことを望んでいる。しかし、国民はこのワクチンをあまり信用しておらず、接種は思うように進んでいない。ロシアのワクチン接種は昨年12月初めに始まったが、少なくとも1回接種した人は人口の約23％、完全接種率は15％に届いていない。
モスクワ市長は先月末、レストランのスタッフ、教師、美容師、公共交通機関の職員など、公の場で働く人々にワクチン接種を義務付けたうえで、「未接種者は病院で日常的な治療を受けることができなくなる」と市民に圧力をかけた。結果、ワクチン接種を希望する人はある程度増加したという。
＜国／接種数／1回接種率／完全接種率／7月23日時点＞
アメリカ：3億3,900万回 56％ 48％
イギリス：8,300万回 68％ 54％
ドイツ：8,800万回 60％ 48％
イタリア：6,300万回 61％ 46％
フランス：6,600万回 56％ 42％
カナダ：4,600万回 71％ 52％
日本：7,400万回 35％ 23％
ロシア：5,500万回 23％ 15％
中国：14億9,000万回 49～54％（推定）
インド：4億1,800万回 24％ 6％
イスラエル：1,100万回 66％ 61％
世界：37億6,000万回 27％ 13％
アジア：23億6,000万回 27％ 10％
北米：4億7,300万回 46％ 36％
ヨーロッパ：6億700万回 47％ 36％
EU：4億3,900万回 57％ 45％
南米：2億3,800万回 39％ 17％
アフリカ大陸：6,100万回 3％ 2％
