◎イギリス政府は7月19日に現在の制限をほとんど解除する予定で、ナイトクラブは約1年4カ月ぶりに営業を再開し、人々はようやくマスクから解放される。
2021年3月12日/北アイルランド、ベルファストのクイーンズ大学ウェルカム・ウォルフソン実験医学研究所、ボリス・ジョンソン首相(右)(Getty Images/Pool/AFP通信)

イギリスの保健当局によると、7月16日のコロナウイルス新規陽性者数は51,273件に達し、約半年ぶりに5万件を超えたという。ただし、死亡者数は2桁をキープしており、16日は49人だった。

イギリス政府は7月19日に現在の制限をほとんど解除する予定で、ナイトクラブは約1年4カ月ぶりに営業を再開し、人々はようやくマスクから解放される。

しかし、一部の国民はボリス・ジョンソン首相の決断に疑念を抱いており、ソーシャルメディアには「今マスクを外せば大変なことになる」という趣旨の投稿が相次いで寄せられた。

ロンドンでカフェを営むハティス・クク氏はAP通信の取材に対し、「とてもうれしい」と語った。「マスクは役に立たないと思いますよ...」

映画制作者のルーシー・ヒース氏はロイター通信に、「利用者の多い地下鉄やスーパーマーケットなどのマスク義務が継続されることを望んでいます」と述べた。「脆弱な人々は危険を冒したくないと思うでしょう...」

ジョンソン首相は19日を「自由の日」と呼び、コロナウイルスと共存する時代が始まると宣言したが、新規症例は予想を上回る勢いで増加し、人々を困惑させた。

世界保健機関(WHO)は先日、感染力の強いデルタ株の世界的な感染拡大を受け、世界の症例と死亡者数は再び増加に転じたと発表した。先週の世界の新規症例は約300万件、55,000人以上が死亡した。

ジョンソン首相は今週、「パンデミックは終わっていない」と述べ、あらためて国民に警戒を維持するよう呼びかけた。「7月19日の制限解除後も、コロナ以前の状況には戻らないでしょう...」

イギリス政府は19日にマスクからの卒業を公式に宣言する予定だが、国民は19日以降もマスクの着用を促されている。なお、スコットランドとウェールズはマスク着用義務を継続する。

政府は制限解除後もマスクの着用を「推奨」すると述べている。一方、ロンドンのサディク・カーン市長は14日、「国民は市内の公共交通機関を利用する際は引き続きマスクを着用する必要があり、関係機関にマスク着用を乗車条件として強制するよう命じた」と述べた。

野党議員や一部の医療関係者は、政府にマスク義務を解除しないよう求めている。企業や組合も義務から任意への変更は様々な混乱を引き起こす可能性があると懸念を示した。

小売労働組合USDAWの書記長はAP通信に、「現場は混乱しています」と述べた。「人の密集する店舗や公共エリアでのマスク着用を法律で義務付けるべきです。マスクを外したい気持ちは理解できますが、少なくとも今はまだ外す時期ではないように思えます。小売店のスタッフは深刻な感染リスクに直面するでしょう」

ジョンソン首相は以前の声明で国民に「今進まなければいつ進むのか!」と訴え、感染リスクを受け入れるよう呼びかけた。

マスクと戦っている国はイギリスだけではない。イスラエルはワクチン接種を終えた人が成人人口の約85%に達したことを受け、ほぼ全ての制限を解除した。しかし、新規症例はその後ゆっくりと増加し、政府はデルタ株を抑え込むために屋内施設でのマスク着用を求める制限を再発出した。

一方、アメリカの疾病予防管理センター(CDC)はガイドラインの中で、ワクチン接種を終えた人にマスクは必要ないと述べている。しかし、一部の都市では症例数が再び増加(患者は主にワクチン未接種者)に転じており、CDCは対応を迫られている。ロサンゼルス郡は15日、ワクチン接種の有無に関わらず、屋内でのマスク着用を推奨すると発表した。

マスクに慣れている一部の東アジア諸国(主に中国、日本、韓国)では、欧米のようなマスク嫌悪はほとんど発生していない。しかし、ロンドンのキングスカレッジが行った最近の世論調査によると、多くのロンドン市民が「マスクはEU離脱やブラック・ライヴズ・マターのように地域を分裂させた」と感じているという。

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の教授で、「COVIDタイムズのフェイスマスク」の共著者であるデボラ・ラプトン氏は次のように述べている。

「マスクはこの非常に混沌とした世界の中で、ある程度の確実性と保護を提供してくれます。この小さな布地はローテクなアイテムですが、信じられないほどの力と重要性を持っていると思います」

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