◎シンガポール籍のX-プレス・パール号(X-Press Pearl)は5月20日、コロンボの北西約18kmで船上火災を起こし、6月2日に船尾が沈没した。
2021年6月3日/スリランカ、コロンボ郊外のカプンゴダのビーチ、X-Press Pearl号から流出したプラスチックペレット(AP通信/Eranga Jayawardena)

6月4日、スリランカ政府はコロンボ沖で沈没したコンテナ船から化学物質が流出したことを受け、環境災害を食い止めるための措置を開始した。

シンガポール籍のX-プレス・パール号(X-Press Pearl)は5月20日、コロンボの北西約18kmで船上火災を起こし、6月2日に船尾が沈没した。スリランカとインド海軍は合同消火および牽引作戦を展開していたが、船をコロンボ港から引き離すことはできなかった。

所有者のX-プレス・フィーダーズ社(X-Press Feeders)によると、火災で硝酸25トンやその他の化学物質を含む貨物の大半が破壊され、船のタンク内に残っている数百トンの燃料が海洋に流出する可能性があるという。

コロンボ郊外のビーチには船から流出したプラスチックパレットが大量に流れついていた。西オーストラリア大学の海洋学教授、チャリサ・パティアラッチ氏はフェイスブックの投稿の中で、「パール号にはプラスチックパレット約78トンが積み込まれていた」と述べた。

スリランカ政府は現在、コロンボ沖約80km圏内での漁業を禁止している。

X-プレス・フィーダーズ社は3日の声明で、「船の船尾は水深約21m地点まで沈み、船首もゆっくり沈んでいる」と述べた。「サルベージの専門家を現地に派遣し、船の状態とタンク内の燃料の状態を監視しています...」

同社によると、サルベージの専門家を含む対応チームはスリランカ海軍と調整を行っているという。

スリランカ海軍のインディカ・デ・シルバ大尉はAFP通信の取材に対し、「国軍と沿岸警備隊はインドの支援を受けて流出に備えている」と述べた。インド海軍は海洋汚染に対処できる特別な装備を供えた船1隻を含む計3隻を現地に派遣している。

X-Press Pearl号の沈没地点

2021年6月2日/スリランカのコロンボ港沖、X-Press Pearl号(ロイター通信/スリランカ空軍)

コロンボ港のニルマル・シルバ港長は地元メディアのインタビューの中で、「専門家は船の燃料は火災で燃え尽きた可能性があると言いましたが、漁業への影響は避けられないでしょう」と述べた。「最悪のシナリオを検討しなければなりません。燃料が残っている可能性を考慮してほしいです。幸い、油はまだ流出していません」

AP通信によると、パール号の貨物目録をチェックしたところ、積み込まれていたコンテナ1,486個のうち、81個には危険物質が入っていたという。

環境保護主義者のアジャンタ・ペレラ氏は地元メディアの取材に対し、「危険物、化学物質、油は海洋生態系に深刻な影響を与える可能性がある」と述べた。「コロンボの海は深刻な環境災害に直面しています...」

海軍は以前の声明で、「火災の原因はインドのハジラ港で積み込まれた化学物質が関連している可能性がある」と述べたが、それ以上の情報は現時点では明らかにされていない。

一方、地元メディアは、「同船の乗組員は5月11日の時点で硝酸が漏洩していたことに気づいていた」と報じたが、海軍と警察はこの情報に関するコメントを発表していない。X-プレス・フィーダーズ社は声明で、「カタールとインド当局は港にとどまることを拒否した」と述べた。同船は5月15日にインドのハジラ港を出航したと伝えられている。

スリランカでは、危険な状態にあったコンテナ船の入港を許可した当局に対する非難の声が上がっている。

スリランカのマヒンダ・アマラウィーラ環境相は2日に放送されたインタビューの中で、「所有者に責任があるかどうかを判断するために、調査を進めている」と述べた。「この災害の原因が過失であれば、所有者は罰せられるでしょう」

パール号の乗組員25人は火災発生時に避難し、2人が軽傷を負った。

2021年6月3日/スリランカ、コロンボ郊外のカプンゴダのビーチ、X-Press Pearl号から流出したプラスチックペレットとカニ(AP通信/Eranga Jayawardena)
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