◎レバノンの一部の議員は事前登録および承認を受けることなくファイザーワクチンを接種し、告発されたという。
2月23日、世界銀行はレバノン政府にコロナワクチン資金の融資を停止すると圧力をかけた。
報道によると、レバノンの一部の議員は事前登録および承認を受けることなくファイザーワクチンを接種し、告発されたという。
ワクチンの展開を監督するリーダーはルールを無視した議員のワクチン先行摂取を「とんでもないこと」と却下し、悪名高い腐敗した政治家に不信感を抱く市民はソーシャルメディアで議員らの辞任を呼びかけた。
世界銀行はレバノンのコロナワクチンキャンペーンの主要な資金提供者であり、約200万回分のワクチンの支払いなどに3,400万ドル(約36億円)を融資している。その融資を停止すれば、前例のない金融および経済危機で外国の援助に依存しきっている政府は重大な影響を受けることになる。
レバノンは何十年にもわたる汚職と管理ミスで傾き、破産と崩壊の危機に瀕している。同国のファイザーワクチン接種キャンペーンは2月14日から始まり、これまでに約60,000回分が接種された。
世界銀行と国際赤十字赤新月社連盟は、レバノンのワクチン接種キャンぺーンを独立して監視する協定に署名している。レバノン医師会の会長は声明で、「違反した議員は第一段階の接種対象者ではなく、事前登録も承認を受けずにワクチンを接種していました」と述べた。
市民は議会を支配するシーア派イスラム組織ヒズボラの議員がワクチン接種においても汚職や違反を繰り返すとソーシャルメディアなどで予想していたため、22日に現地メディアが報じた不正接種のニュースは新たな怒りを引き起こした。
ワクチン接種キャンペーンを監督する委員会のリーダー、アブドゥル・ラーマン・ビズリ氏は記者会見で、「(ルールを無視した)政治家の先行接種はとんでもないことであり、許されません」と述べた。
アブドゥル・ラーマン・ビズリ氏:
「この会見の前に、世界銀行の地域ディレクターと問題について話し合いました。私たちはまず第一段階の接種対象者(75歳以上の医療従事者と市民)にワクチンを提供する予定でした」
世界銀行のレバノン地域ディレクター、サロジ・クマル・ジャ氏は以前、「ワクチンを接種する人は事前登録および承認をクリアしたうえで、自分の順番を待たなければいけません」とツイートし、特定の関係者を優先することは許されないと警告していた。
一方、議会のアドナン・ダーハー事務局長は、16人の議員が優先接種のラインを飛び越えたというメディアの報道を却下し、「16人はルールを順守した」と反論した。
しかし、告発者の情報によると、ラインを飛び越えた議員の一部は75歳未満であり、事前登録を済ませても優先的に接種されることはないという。
ジャ氏は23日のツイートで、「レバノンへの融資とコロナウイルス対応の支援を停止する可能性があります!!私たちはすべての人に依頼します。ワクチンを接種する人は立場に関係なく、登録して順番を待ちなさい」と議会に警告した。
サロジ・クマル・ジャ氏:
「16人は世界銀行と合意した公正かつ公平なワクチン接種計画を無視しました。契約条件違反は資金の提供停止を意味します」
シリアの難民推定100万人を抱えるレバノンは、政治家の汚職と不正が招いた経済および金融危機、コロナウイルス、そして昨年8月に発生したベイルート港の大爆発で荒廃している。