▽政府はELNに対し、すべての攻撃を停止し、当局による人道支援の搬入を許可するよう求めている。
コロンビア北部カタトゥンボで政府と同国最大の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」との和平交渉が決裂し、過去3日間で80人以上が死亡した。現地メディアが19日に報じた。
政府は18日遅くに声明を出し、ELNとコロンビア革命軍(FARC)の分派である左翼ゲリラ「FARC-EMC」との戦闘が激化し、複数の地域で被害が拡大していると明らかにした。
ELNは16日、和平交渉に参加したFARCの元幹部ら7人を殺害。FARC-EMC本体への攻撃を開始したとされる。
戦闘はベネズエラ国境に近いカタトゥンボのいくつかの町で発生し、和平交渉に加わっていた少なくとも3人が誘拐された。
ペトロ(Gustavo Petro)大統領は17日、「ELNが戦争犯罪を犯した」と非難し、和平交渉を中断すると発表した。
ELNは1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。構成員数は2500~5000人と推定され、ベネズエラでも活動し、金鉱山での違法採掘、麻薬密売、誘拐などで利益を上げている。
政府とELNの和平交渉は22年に再開されたものの、何度も中断している。昨年9月にはベネズエラ国境付近でELNの爆弾攻撃により陸軍兵士2人が死亡、29人が負傷。政府は翌日、交渉を中断した。
ロイター通信は地元当局者の話しとして、「ELNの集中砲火で80人以上が死亡し、FARC-EMCの戦闘員だけでなく、一般市民も犠牲になったという情報がある」と伝えている。
しかし、ELNの報道官は声明で、「市民を虐殺しているのはFARC-EMCである」と主張した。
政府はELNに対し、すべての攻撃を停止し、当局による人道支援の搬入を許可するよう求めている。
ELNはカタトゥンボの複数カ所でFARC-EMCと交戦中とみられる。両組織は何年も前からコカの葉の生産地であるカタトゥンボの支配権をめぐって争ってきた。
ロイターによると、少なくとも5つの地域で死者が確認され、うち少なくとも60人がFARCの戦闘員や関係者とみられる。
この戦闘により、約5000人が避難を余儀なくされ、政府に支援を求めている。
カタトゥンボの境界や道路には無数の地雷やIED(即席爆発装置)が仕掛けられているため、外部からの立ち入りは困難になっている。