▽今月初めに旧アサド政権が崩壊して以来、両陣営はトルコ国境付近の要衝マンビジとその周辺で衝突してきた。
」の兵士(Getty-Images).jpg)
米政府の支援を受けるクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」は24日、シリア北部のトルコ国境付近の領土を奪還するため、トルコが支援するシリア国民軍(SNA)に対する反攻を開始したと明らかにした。
SDFは米の支援を受け、シリアにおけるイスラム国(ISIS)との戦いで主導的な役割を果たしてきた。その先頭に立つのはクルド人民防衛部隊(YPG)で、トルコはこれをテロ組織に指定しているクルド労働者党(PKK)の同盟組織とみなしている。
今月初めに旧アサド政権が崩壊して以来、両陣営はトルコ国境付近の要衝マンビジとその周辺で衝突してきた。
SNAは先週、SDFからマンビジを奪取。その後、米国の仲介により停戦協定が発効した。
SDFはこの協定が期限切れを迎えたとして、SNAへの反撃を開始。現地メディアによると、協定発効後も各地で散発的な戦闘が確認されていたという。
アサド(Bashar Assad)前大統領は今月初め、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。
暫定政権は周辺国の仲介などを受け、シリアの情勢安定化に向けた取り組みを進めている。
YPGの報道官は24日、AP通信に対し、「戦闘員たちは現在進行中の反攻作戦でマンビジの中心部から8キロほど離れた地点にいる」と語った。
また報道官はトルコがSNAを通じてシリアの将来をめぐる交渉におけるSDFの影響力を弱めようとしていると非難した、
さらに「シリアは今、新たな局面を迎えており、国の将来について話し合いが行われている。トルコはこの戦闘で私たちの注意をそらし、ダマスカスにおける交渉からSDFを排除しようとしている」とした。
イギリスのNGOシリア人権監視団によると、今月初めにSNAの攻撃が始まって以来、双方で数十人の死者が出ているという。
オスマン帝国時代から続くトルコ人とクルド人の紛争は1980年代に本格化し、数万人が死亡したと考えられている。