◎パキスタンでは先月末から全国ポリオワクチン接種キャンペーンが行われている。対象は5歳以下の児童約4500万人。
パキスタンの保健当局は20日、北西部カイバル・パクトゥンクワ州で新たに1人のポリオ感染者を確認したと明らかにした。これにより、今年のポリオ感染者は50人に達した。
パキスタンでは先月末から全国ポリオワクチン接種キャンペーンが行われている。対象は5歳以下の児童約4500万人。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
ワクチン接種キャンペーンを主導する中央政府の対策室は声明で、「最新の感染者は武装勢力によるテロ攻撃が続くカイバル・パクトゥンクワ州のペシャワル郊外の地区で確認された」と述べた。
世界保健機関(WHO)のデータによると、今年のポリオ感染者のほとんどがアフガニスタンと国境を接する南西部バルチスタン州とカイバル・パクトゥンクワ州で報告され、感染者数は昨年の4倍となっている。
WHO中東事務所は先週、パキスタン政府によるアフガン移民強制送還がポリオの感染拡大に拍車をかけ、キャンペーンの努力に水を差していると非難した。
パキスタンは定期的にワクチン接種キャンペーンを実施しているが、それを担当する医療従事者や護衛の警察官が何度も暴力に見舞われている。
パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。