◎フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍といわれている。
頭を抑える女性(Getty Images)

メキシコ連邦警察のガロ(Felipe de Jesus Gallo)長官は23日、「同国はフェンタニル製造のチャンピオンである」と認め、オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領に反論した。

オブラドール氏は23日の定例会見で複数の麻薬カルテルがフェンタニルを製造しているという米捜査当局の指摘を否定。「カルテルは国外から持ち込まれたフェンタニルを偽造して偽薬を作り、米国などに輸出しているだけだ」と主張した。

しかし、ガロ氏はこの主張に真っ向から反発。「メキシコは1990年代からメタンフェタミン製造のチャンピオンであり、現在もそれを製造し続けている」と述べた。

フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍といわれている。

メキシコの薬局で販売されているオピオイド系鎮痛剤オキシコンチン、パニック障害治療薬ザナックス、アデラルなどにはしばしばフェンタニルが混入している。

カルテルは中国やインドから合成オピオイドの前駆体化学物質を輸入。国内で加工し、米国などに密輸している。

メキシコで流通するフェンタニルの量は米国に流れる量の3割程度と推定されている。

ガロ氏は首都メキシコシティで開催された合成麻薬に関する会議に出席。「カルテルは国内の多くの州にフェンタニルの製造工場を持ち、米国だけでなく世界中に輸出している」と指摘した。

またガロ氏は「カルテルのメタンフェタミン製造は工業化されている」と強調した。「シナロア・カルテルやソノラ州の山間部だけでなく、他州の市街地などにも工場を持っています。他のカルテルも同様です。ハリスコ新世代は研究所を運営しているという情報もあります...」

米疾病対策センター(CDC)によると、2020年にフェンタニルの過剰摂取で死亡した人は約5万8000人。21年は7万1000人と推定されている。

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