◎ウクライナが今NATOに加盟すれば5条(集団防衛)が適用され、ロシアとの全面戦争に突入することになる。
NATO首脳は12日、ウクライナのNATO加盟について、「条件が整えば加盟できる」という認識を示す一方、加盟手続きの開始は見送り、加盟時期にも触れなかった。
NATOは声明で「加盟を早める必要性は認識しているが、その時期については言及しない」と述べている。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は首脳会議に先立ち、「NATOの招待状を受け取る用意がある」と繰り返し表明していた。
しかし、ゼレンスキー氏は11日、ツイッターに声明を投稿し、「NATOにウクライナを加盟させる用意はないようだ」と不満を表明した。
ウクライナはロシアとの戦争が続いている間にNATOに加盟できないことを認識しているが、戦争終結後、できるだけ早く加盟したいとしている。
ゼレンスキー氏はストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)NATO事務総長が声明を出す前にツイートし、時間枠で合意できなかったことに怒りを表明した。「これはロシアとの交渉でウクライナのNATO加盟を切り札にする可能性があることを意味します...」
NATO加盟31カ国はウクライナの加盟交渉開始および加盟予定時期には触れていない。しかし、首脳らは加盟への明確な道筋が示されていることと、困難な申請手続きが大幅に短縮されると強調した。
またNATOはウクライナ軍がNATO軍との「相互運用性」と「政治的統合性」を高めていることを認め、ウクライナの民主主義と安全保障改革を支援し続けるとした。
さらに、12日に初めて開かれるNATO・ウクライナ理事会の意義を強調した。
しかし、期限を明確にしなかったことはウクライナにとって後退を意味する。
ゼレンスキー氏はNATOにタイムラインを示すよう繰り返し求めていたが、NATOはそれに応じられなかった。多くのアナリストがストルテンベルグ氏の声明を「外交的失敗」と評価している。
ウクライナが今NATOに加盟すれば5条(集団防衛)が適用され、ロシアとの全面戦争に突入することになる。
一部の加盟国はウクライナの加盟時期を明言しただけでロシアとの戦争がエスカレートする可能性があると懸念している。
今回の首脳会議ではNATOがウクライナにどのような安全保障を約束するかが焦点となる。
NATOはウクライナの安全を保障すると約束してきたが、ロシアのクリミア侵攻(2014年)と今回の戦争を抑止することに失敗した。