◎ワグネルの部隊はウクライナ東部ドネツク州バフムートでウクライナ軍と激戦を繰り広げている。
ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は7日、ロシア政府が弾薬の増産要求に同意したと明らかにした。
ワグネルの部隊はウクライナ東部ドネツク州バフムートでウクライナ軍と激戦を繰り広げている。
プリゴジン氏は今週、弾薬不足のためワグネルの戦闘員が無駄死にさせられているとして、5月10日にバフムートの前線から撤退すると表明。ロシア国防省幹部らを罵倒した。
プリゴジン氏はテレグラムに投稿した動画で、「ショイグ(Sergei Shoigu、国防相)!ゲラシモフ(Valery Gerasimov、参謀総長)!弾薬はどこにあるんだ?」と激高した。「我々の志願兵はロシアのために働いているのであって、貴様らを太らせるために死んでいるのではない!」
プリゴジン氏は政府高官を何度も批判してきたが、これほど怒りを露わにしたのは初めてである。
米シンクタンク戦争研究所によると、ワグネルの撤退は戦況に大きな影響を与える可能性が高いという。
しかし、プリゴジン氏は7日の声明で、「政府はバフムートの前線における戦闘を継続するために必要な物資を供給すると約束した」と述べた。
ロシア国防省はプリゴジン氏の「脅迫」に関する声明を出していない。
ロシア軍とワグネルは何カ月も前からバフムートの完全制圧を目指してきたが、ウクライナ軍の徹底抗戦に阻まれ、数万の兵士を失ったと考えられている。
西側政府はバフムートの戦闘で数万のロシア兵・ワグネル兵が戦死したとみている。
ロシア軍とワグネルは同じ側に立っているが、ロシア大統領府はプリゴジン氏の影響力がこの戦争で高まることを恐れているように見える。
プリゴジン氏は前線への支援が不足しているとして、政府関係者を何度も批判してきた。
プリゴジン氏は怒りを露わにした声明の中で、「昨年10月から1月にかけてロシア軍を指揮したスロビキン(Sergey Surovikin)氏が正規軍とワグネル部隊の連絡係を務めることになった」と述べている。
プリゴジン氏はスロビキン氏を称賛。「正規軍の中で戦い方を知っているのはこの男だけだ」と述べ、国防相を含む軍幹部を暗に批判した。
プリゴジン氏は7日の撤退表明を覆すとは言わなかったが、弾薬が補給されれば戦闘を続けることができると示唆している。
ロシア大統領府はプリゴジン氏の最新の声明についてコメントしていない。
一部の専門家はプリゴジン氏がこの戦争を利用して自身の地位を確固たるものにしようとしていると指摘している。
一方、ウクライナ政府関係者はプリゴジン氏の撤退表明に懐疑的な見方を示していた。
ウクライナ国防省の報道官は5日、「ワグネルは5月9日の戦勝記念日までにバフムートの完全制圧を目指し、この地域に傭兵を再配備している」と報告していた。