◎フィンランドは今月、31カ国目のNATO加盟国になった。
フィンランド南東部のロシア国境で14日、有刺鉄線付きのフェンスを建設する工事が本格的にスタートした。
これは不法移民の流入を阻止する取り組みのひとつである。
フィンランドは今月、31カ国目のNATO加盟国になった。
フィンランド国境警備隊は14日に人口約2万5000人の湖畔の町イマトラの工事現場を公開した。数週間以内に全長約3kmのフェンスが設置される予定だ。
フィンランドとロシアの国境は1340kmにおよぶ。これはEU加盟国の中で最も長い。
マリン政権は昨年、ロシアのウクライナ侵攻を受け、フェンス工事を承認した。フェンスの高さは約3m。上部に有刺鉄線が取りつけられ、監視カメラなども設置される。
国境警備隊の広報担当は記者団に対し、「フェンスはロシアからの不法移民を防ぎ、問題に対応する猶予を当局に与えるだろう」と語った。
ロシアは2015~16年のシリア難民危機時、フィンランド北部の国境付近に亡命希望者を送り込み、フィンランド政府に圧力をかけた。
人権団体やNGOはロシア当局がこの地域にシリア、イラク、アフガンなどの難民数千人を送り、国境まで案内したと非難したが、ロシアはこの主張を「戯言」と一蹴した。
この問題はフィンランドのニーニスト(auli Niinistö)大統領とプーチン(Vladimir Putin)露大統領の首脳会談であっさり決着した。それ以降、移民の流入はピタッと止まったのである。
フィンランドはロシアがNATO加盟に反発して国境に移民を送り込む恐れがあるとし、フェンス工事を急いでいる。
APは政府関係者の話として、「フェンスはロシアのハイブリッド攻撃に対応するものである」と伝えた。
フェンス工事の技術部門を統括するトルパネン(Jari Tolppanen)准将はAPの取材に対し、「ロシアによるウクライナ侵略後、すべてが変わった」と語った。
フェンス工事の第一工区は今年の夏までに完成する予定。最終的には全長200kまで拡張される。
フェンスは南東部の主要な国境通過地点に近い地域や北極圏のラップランド地方などに設置される予定だ。