◎ボルヌ首相は先週、国民議会(下院)で憲法49条3項を発動し、退職年齢を62歳から64歳に引き上げる年金制度改革法案を採決なしで採択した。
フランス政府は23日、全土で年期制度改革に抗議するデモが行われ、100万人以上が参加したと発表した。
内務省によると、パリ市内では12万人近くが市内を練り歩き、一部地域で暴動に発展したという。
南西部ボルドーでは市庁舎が放火されたと伝えられている。
機動隊はパリの暴徒に催涙ガス弾を撃ち込み、全国で少なくとも80人を逮捕した。
ボルヌ(Élisabeth Borne)首相は先週、国民議会(下院)で憲法49条3項を発動し、退職年齢を62歳から64歳に引き上げる年金制度改革法案を採決なしで強行採択した。
デモ隊と野党はマクロン政権に退陣を求めている。
AFP通信によると、ボルドー市内では22日から暴動が続き、23日夕方に市庁舎の正面玄関が炎上したという。
消防は消火に成功したが、誰が放火したかは明らかになっていない。
ロイター通信はパリ市内で覆面をかぶった暴徒が店舗の窓ガラスを割ったり、ゴミ箱に火を放ったり、マクドナルドを襲ったりする様子を報じた。
ロイターによると、警察官1人が意識不明の状態で医療機関に搬送されたという。
一方、AP通信はパリの暴徒が機動隊に物を投げつけたり、花火を打ちこんだりしたと報じた。機動隊は催涙ガスで応戦し、33人を逮捕したとしている。
ロイターの取材に応じたパリのデモ参加者は、「フランス人はマクロンにウンザリしている」と語った。
別の男性はAFPに、「情けない野党はこの改革を阻止できなかったので、市民の力で阻止することにした」と述べた。「立ち上げれ、革命戦士たちよ!」
空港、鉄道、製油所、消防、その他多くの労働者がストに参加している。パリのシャルル・ドゴール空港の職員は制服を放り投げた。
北部ルーアンでは若い女性が手に重傷を負ったと伝えられている。ロイターによると、この女性は機動隊が発射した閃光弾を受け、親指を失ったという。
西部のナント、レンヌ、ロリアン市でも衝突があった。
ナントのデモ参加者はフランス・テレビジョンのインタビューで、「マクロン(Emmanuel Macron)大統領はこの混乱を見て何も感じないのか?」と憤った。
労組と左派政党はストを成功とみなしているが、改革案はすでに採択されている。
マクロン政権はデモが時間の経過と共に落ち着くことを期待している。またデモが暴動に発展すれば批判が集まり、多くの参加者が距離を置くと期待しているのだろう。
フランス・テレビジョンは専門家の話を引用し、「極右・国民連合と極左・不服従のフランスはデモを支持しているが、主要労組は平和的なデモを推進し、暴動に明確に反対する必要がある」と報じた。
今月6日にストを開始したパリのゴミ収集業者は来週月曜までストを継続する予定だ。
同国の年金制度は高齢化に伴い、今後10年で赤字に転落する見通し。他の先進国も似たような問題を抱えている。