◎ボルヌ首相は先週、国民議会(下院)で憲法49条3項を発動し、退職年齢を62歳から64歳に引き上げる年金制度改革法案を採決なしで採択した。
2023年3月16日/フランス、パリの国民議会、マクロン政権の年金制度改革に反対する野党議員(ロイター通信)

フランス政府は20日、年金制度改革に反対する野党の不信任決議案をかろうじて乗り切った。

国民議会(下院)はボルヌ(Élisabeth Borne)首相に対する不信任決議案を反対多数で否決した。

極右・国民連合のル・ペン(Marine Le Pen)党首は与党・共和党前進にゆさぶりをかけたが、2度目の決議案も否決された。

ボルヌ氏は先週国民議会(下院)で憲法49条3項を発動し、退職年齢を62歳から64歳に引き上げる年金制度改革法案を採決なしで採択した。

この決定は怒りに満ちた抗議デモを引き起こし、一部の暴徒と機動隊が衝突する事態に発展した。

フランス24によると、パリ市内では決議案否決に抗議するデモが行われたという。

1回目の決議案はいくつかの左派政党も支持を表明したが、それでも成立しなかった。極左政党・不服従のフランスの議員は「さよならマクロン」「再チャレンジ」などと書かれたプラカードを掲げ、ボルヌ氏に辞任を要求した。

同党のメランション(Jean-Luc Melenchon)氏はSNSに声明を投稿。「何も解決していない。この危険なマクロン改革を阻止するためにできる限りのことをすべきだ」と書き込んだ。

ボルヌ氏が採決に先立ち演壇に立つと、野党議員はブーイングを浴びせ、緊張が高まった。

ボルヌ氏は野党を批判し、「法案成立のためにここまでしたことはない」と主張した。

マクロン(Emmanuel Macron)大統領によると、同国の年金制度は高齢化に伴い、今後10年で赤字に転落する見通し。他の先進国も似たような問題を抱えている。

しかし、野党議員は「もっとうまくやれるはず」と主張している。

国民連合は「マクロン政権の解任がこの国の社会保障を救う唯一の方法」と述べている。しかし、中道右派の共和党は不信任決議案を支持しないと表明した。

共和党は年金制度改革に一定の理解を示したうえで、「社会保障の問題は長年の政治的失敗が招いたもの」と指摘している。

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