◎トラックはイランの支援を受ける民兵の拠点があるアブカマルに向かっていたとみられる。
2018年/シリア、首都ダマスカス郊外、イスラエル軍のミサイル攻撃(Getty Images)

国営シリア・アラブ通信(SANA)は29日、シリア東部を走行していたトラックの車列がドローンによる攻撃を受けたと報じた。

SANAによると、トラックはイラクからシリアに物資を運んでいたという。物資の詳細と死傷者の有無は明らかになっていない。

この攻撃はイスラエルとイランの緊張が高まる中で発生した。

トラックはイランの支援を受ける民兵の拠点があるアブカマルに向かっていたとみられる。

イギリスに本拠を置くNGO「シリア人権監視団」は29日、ドローンは米軍が主導する連合軍のものと思われると述べ、冷凍トラック6台が攻撃を受けたと説明した。

同監視団によると、現場に救急車が駆け付けたことから、死傷者が出ているとみられる。

北部の難民キャンプで人道支援に当たる活動家はSNSに、「ドローンはイラン革命防衛隊(IRGC)とつながりのある民兵のトラックを攻撃したようだ」と投稿している。

アサド政権と対峙するクルド人主導の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」は声明を出していない。

地元ラジオ局も冷凍トラック6台が攻撃を受けたと伝えている。

一方、イラクのメディアは政府関係者の話を引用し、「イランの支援を受ける民兵組織のトラック1台が攻撃を受けたとみられる」と報じた。

この攻撃の数時間前、イラン中部イスファハンの軍事施設がドローン空爆を受けた。

イスラエル軍参謀本部は先月、シリア東部のトラック輸送隊に対する昨年11月の空爆に同軍が関与していると強く示唆した。

イスラエルはアサド(Bashar al-Assad)大統領の支配下に置かれている地域を数百回空爆してきたが、作戦を実行したと認めたことはほとんどない。

しかし、イスラエル軍はアサド政権とつながりのあるレバノンのイスラム過激派組織ヒズボラや、イランとつながりのある複数の民兵を攻撃していることはおおむね認めている。

ヒズボラとイランはアサド政権への兵器供与を否定している。イランはイエメン内戦でサウジ連合軍と対峙するシーア派武装勢力フーシにも兵器と要員を供与している。

シリア東部で昨年11月に報告された空爆では民兵の燃料や兵器を積んだトラックが爆破され、少なくとも14人が死亡したと伝えられている。

シリアの人権活動家は当時、「イスラエル軍はイランとつながりのある民兵の兵站を阻止しようとしている」とツイートしていた。

イスラエル政府はこの空爆に関する公式声明を一切出していない。

イランはアサド氏の主要な支援者であり、11年にわたる内戦の間、多くの兵器を供与し、数千人の戦闘員をシリアに派遣してきた。

2017年11月8日/レバノン南部、イスラム過激派組織ヒズボラの戦闘員(Mahmoud Zayyat/AFP通信/Getty Images)
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