◎ドイツの原発は年内にすべて閉鎖される予定であった。
ドイツの原子力発電所(Getty Images)

ドイツ連邦議会(下院)は11日、同国内で営業運転を続ける原子力発電所3基の運転期間を来年4月中旬まで延長することに合意した。

採決の結果、運転を延長する法案は賛成375ー反対216(棄権70人)で可決された。

ショルツ(Olaf Scholz)首相は先月の閣議で運転延長を命じ、ロシア産天然ガスの供給削減に対処すると表明した。

ドイツの原発は年内にすべて閉鎖される予定であった。この計画はシュレーダー(Gerhard Schroeder)元首相が2000年代初頭に策定。その後継者であるメルケル(Angela Merkel)前首相は運転期間を延長するという自身の決定を覆し、2022年末の閉鎖を決めた。

ショルツ政権はロシア産原油・ガスへの依存を解消するために、アフリカ・中東・アジアの国々との燃料取引を急いでいる。

反原発派の「緑の党」を率いるハーベック(Robert Habeck)副首相兼経済・気候保護相は冬に起こり得る電力不足を緩和するために、南部の2つの原発だけは12月31日以降も運転を継続すべきと主張していた。

しかし、連立を組む親ビジネス派の自由民主党を率いるリントナー(Christian Lindner)財務相は現在稼働中の3原発すべての運転期間を延長し、必要であれば4月以降も稼働させ続けるよう提案している。

さらに、自由民主党の一部議員は昨年運用を停止した3原発の再稼働を要求している。

今回可決された法案は3原発の運転期間を4月中旬までとしているが、多くの専門家がそれ以降もエネルギー危機は続くと予想しており、再考される可能性がある。

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんは先月、ショルツ政権の政策に苦言を呈し、「原発を止めて石炭火力に頼るぐらいなら、原発を稼働させ続けてほうがマシ」と指摘した。

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