◎パキスタンに居住する中国人は何度も攻撃の対象になっている。
パキスタンの警察当局は28日、南部の港湾都市カラチの歯科医院に武装した男が押し入り、経営者の中国人男性を殺害したと発表した。
地元メディアによると、この攻撃で男性1人が死亡、2人が負傷したという。3人はいずれも中国人で、40年ほど前からこの地域で歯科医院を営んできた。
警察は声明で、「30代前半の男は店内にいたパキスタン人を無視し、3人を銃撃した」と説明している。
容疑者は共犯者とバイクに乗って逃走した。
報道によると、亡くなったのは74歳の男性経営者。その妻と助手が負傷し、医療機関に搬送された。
犯行声明は出ておらず、動機も不明。
パキスタンに居住する中国人は何度も攻撃の対象になっている。
今年4月にはカラチにあるカラチ大学系列の中国文化教育機関(孔子学院)で自爆テロが発生し、中国人教師3人とパキスタン人運転手が死亡している。容疑者はブルカ(イスラム教徒の女性が着用するヴェール)を着用し、3人を乗せたバンの目の前で自爆した。事件後、南西部の分離独立を掲げる「バルチ解放軍(BLA)」が犯行声明を出している。
中国はパキスタン全土で大規模なインフラ開発プロジェクトや大きな利益を生む鉱業・エネルギー事業に深く関わっており、天然資源の豊富なバルチスタン州も対象地域に含まれている。
バルチスタン州はこのインフラ開発で様変わりしつつある。BLAは中国が同州の天然資源を搾取し、パキスタンの中国化を進めていると批判している。
パキスタン政府は28日、歯科医院に対する攻撃を糾弾し、「中国人居住者の安全を確保する必要がある」とツイートした。