◎ポルトープランスでは数週間前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げている。
ハイチ当局は27日、首都ポルトープランスのスラム街で激しい銃撃戦が発生し、教会や住宅が炎上したと報告した。
銃撃戦は政府庁舎と国内最大の刑務所から数ブロックしか離れていない地点で発生したと伝えられている。
政府報道官はAP通信の取材に対し、「刑務所の囚人たちはギャングが助けに来ると思い、刑務官に襲いかかった」と語った。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震でほぼ崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。地震の犠牲者は2200人と推定され、復興はほとんど進んでいない。
ポルトープランスでは数週間前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げている。
政府報道官はAP通信に、「侵略戦争が始まった」と語った。「警察はギャングの暴力を抑えようとしていますが、予算不足で銃火器が揃わず、苦戦を強いられています。鎮圧には数日かかるかもしれません」
AP通信によると、ポルトープランスの繁華街は閑散とし、時折銃声が聞こえるという。G9のリーダーで「バーベキュー」と呼ばれる元警察官の男はG-Pepを滅ぼすと宣言している。
G9は複数の虐殺事件に関与し、モイーズ前大統領の政党と同盟関係にあるとされ、モイーズ氏の暗殺事件を非難している。
27日にソーシャルメディアで共有された動画には、G9のメンバーを名乗る男たちが、別のギャングの戦闘員と思われる男の遺体を撮影し、その横に銃器を並べ、戦果を自慢していた。
政府報道官によると、スラム街の銃撃戦により、直近24時間で民間人数人が負傷したという。
ハイチ国立大学は27日、教室のガラスが流れ弾で粉々になり、講義を中断したと発表した。負傷者はいない模様。
消防当局は「G9の戦闘員と思われる男たちがスラム街の教会に火を放った」と報告している。
首都攻防戦は先月激化し、裁判所も被害を受けた。26日には近郊の裁判所も炎上したと報告されている。
国連によると、スラム街の縄張り争いにおけるこの1週間の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで470人を超え、数千人が避難を余儀なくされた。
国連安全保障理事会は今月、ハイチへの武器販売を禁止する決議案を全会一致で採択し、国際社会により強力な支援が必要と呼びかけた。