◎ハイチの治安は昨年7月のモイーズ大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震でほぼ崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
2021年11月2日/ハイチ、首都ポルトープランス郊外、ギャンググループ「G9&Family」のリーダー(Getty Images)

ハイチの検察当局は26日、ギャングと思われる男たちが首都ポルトープランス近郊の裁判所に火を放ったと発表した。

AP通信によると、ポルトープランス北東クロワデブーケにある裁判所は全焼を免れたものの、ひどく破壊されたという。

検察の報道官はAP通信の取材に対し、「警察は武装集団から地域を守るために24時間体制で働いている」と語った。

クロワデブーケは武装集団「400マウォゾ」の支配下に置かれている。報道によると、この地区の教会のミサに参加していた警部が24日にギャングと思われる男たちに殺害されたという。

SNSでは警部と思われる男性がギャングに取り囲まれる動画が共有されている。容疑者たちは警部の両手を切断。その後、遺体をハチの巣にした。

容疑者のリーダーと思われる男は動画の中で警部の処刑を「報復」と呼んでいる。AP通信によると、警察当局は数日前に400マウォゾの戦闘員と思われる男を取り締まり中に射殺したという。

ポルトープランスでは数週間前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げている。

警察によると、ポルトープランス郊外の別の裁判所も1カ月ほど前に攻撃を受け、破壊されたという。

ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震でほぼ崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。地震の犠牲者は2200人と推定され、復興はほとんど進んでいない。

ポルトープランス以外の地域では誘拐事件が多発し、ギャング間抗争は激しさを増し、北部と南部をつなぐ主要幹線道路は閉鎖された。

国連安全保障理事会は今月、ハイチへの武器販売を禁止する決議案を全会一致で採択し、国際社会により強力な支援が必要と呼びかけた。

米国はハイチ国家警察を強化するための支援や訓練を提供し続けている。

警察は現在、ポルトープランスのスラム街で勃発したギャング間抗争を鎮めようとしている。国連によると、この1週間で470人以上が死亡、負傷または行方不明になり、地区の住民推定3000人が避難を余儀なくされたという。

2022年3月29日/ハイチ、首都ポルトープランス郊外の空港、ギャングの暴力やインフレに抗議するデモ(John Cadafy Noel/AP通信)
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