◎政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、債務不履行に陥った。
スリランカ政府は3日、燃料不足を解決できる見通しは今のところ立っていないとして、全国の学校閉鎖期間を1週間延長すると発表した。
政府報道官は記者団に「外貨準備が圧倒的に不足している」と説明し、海外で生活するスリランカ人に対し、国内の銀行に積極的に送金するよう訴えた。
スリランカは現在、隣国インドの信用枠40億ドルで何とか食いつないでいる。政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、債務不履行に陥った。2026年までは毎年平均50億ドルを処理し続けなければならない。
国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は先月末、国内の石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の一般販売を停止している。
政府報道官によると、4万トンの燃料を積んだタンカーが7月22日に入港する予定だという。
その他にもいくつかの燃料輸送が予定されている。しかし、報道官は米ドルの確保に苦労していると述べた。
都市部の学校はこの2週間閉鎖されている。政府はこの期間を1週間延ばし、7月11日から授業を再開したいとしている。
また報道官は、発電所に十分な燃料を供給できないため、7月4日から全国で計画停電を行うと発表した。
地元メディアによると、停電時間は1日3時間ほどで、地域によって多少異なるという。一部の地域では数カ月前から停電が常態化している。
報道官は「現在の主な問題は米ドル不足」と述べ、国外で働く約200万人のスリランカ人に、国内の銀行に現金を送金するよう訴えた。
政府の公式データによると、海外からの送金は通常毎月6億ドルほどだが、先月は3億1800万ドルまで減少したという。
スリランカ中央銀行は声明で、「2021年上半期の海外送金は28億ドルだったが、今年は13億ドルに減少した」と報告している。
政府は昨年、国民に外貨をスリランカ・ルピーに交換するよう強制し、批判を浴びた。これにより、多くの国民、特に海外居住者が外貨をため込むようになったとみられる。
スリランカは燃料の大半を隣国インドから調達しており、インド政府の信用枠で何とか経済を維持している。ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相はロシアとマレーシア両国とも協議を進めている。
首都コロンボの大統領府周辺ではラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の辞任を求めるデモが2カ月以上続き、一部のデモ隊は大統領府の入り口で野営している。
スリランカの債務はラジャパクサ氏率いる前政権の「後先考えない無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、中国の「債務トラップ」の影響で膨れ上がり、債務不履行に陥った。