◎イスラエル警察は会葬者を警棒で殴打したものの、棺は無事だった。
イスラエルの現地メディアは13日、エルサレム東部で行われたアルジャジーラ記者シリーン・アブ・アクレ(Shireen Abu Aqleh)氏の葬儀中に乱闘が発生したと報じた。
アクレ氏は今週、イスラエル軍がヨルダン川西岸の難民キャンプで行った急襲作戦を取材している際に撃たれ、死亡した。
報道によると、アクレ氏の棺を運んでいたパレスチナ人の一部がイスラエル警察に石を投げ、乱闘に発展したという。
警察は会葬者を警棒で殴打したものの、棺は無事だった。
現地メディアが報じた映像には、アクレ氏の遺体が安置されていた病院の敷地近くに集まったパレスチナ人とイスラエル警察がにらみ合い、乱闘に発展する様子が映っていた。
警察は群衆を押し戻し、会葬者を殴ったり蹴っ飛ばしたりした。
グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長の報道官は、イスラエル警察とパレスチナ人の対立に心を痛めていると声明を発表した。
ホワイトハウスのサキ(Jen Psaki)報道官は、乱闘に不安を感じるとした。「平和的な葬儀での衝突は大変遺憾です」
アルジャジーラはパレスチナ自治政府高官のコメントを引用し、「アクレ氏はイスラエル軍に射殺されたと考えられるが、イスラエル政府は当時の状況をまだ正確に把握できていない」と報じた。
イスラエルはパレスチナの過激派が銃を乱射し、アクレ氏に当たった可能性があると指摘している。
イスラエル軍は12日に公表した中間報告の中で、「アクレ氏の事故はパレスチナの過激派の乱射か、イスラエル兵が過激派に応戦した際に発生した可能性がある」と述べている。
アクレ氏は20年以上にわたったヨルダン川西岸地区を取材し、多くの住民から慕われていた。
アクレ氏の葬儀はアッバス(Mahmud Abbas)議長の屋敷で行われ、棺にはパレスチナの国旗がかけられた。
アッバス議長は声明で、「アクレ氏はパレスチナの大義を守るために人生を犠牲にした自由という言葉を発信する殉教者」と表現し、賛辞を贈った。
またアッバス議長は「イスラエルはアクレ氏殺害の責任を負っている」とし、国際刑事裁判所に戦争犯罪として調査を依頼すると述べた。
イスラエルのベネット(Naftali Bennett)首相は、「パレスチナは何の証拠も示すことなくイスラエルに責任を押し付けている」と非難した。
アクラ氏は11日未明、ヨルダン川西岸のジェニン難民キャンプに滞在し、イスラエル軍の急襲作戦を取材した。イスラエル軍によると、この作戦はテロリストを逮捕するためのものだという。
イスラエル軍は急襲作戦について、 「パレスチナの武装兵数十人が兵士に向かって発砲し、爆発物を投げつけた。兵士はこれに応戦し、まもなくアクラ氏に弾が当たった」と説明している。
アルジャジーラのもう一人のジャーナリストも撃たれ、負傷した。
イスラエル軍は13日にもジェニン近郊で対テロ作戦を行い、特殊部隊の隊員1人が死亡したと発表した。