◎麻薬密売組織のリーダーであるダイロ・アントニア・ウスガ容疑者は昨年10月、米国の要請によりコロンビアで逮捕された。
2022年5月4日/コロンビア、首都ボゴタの空港、ダイロ・アントニオ・ウスガ容疑者と当局者(Colombian presidential press office)

米検察当局は5日、コロンビア最大の麻薬密売組織のリーダーであるダイロ・アントニア・ウスガ容疑者がニューヨークに到着したと発表した。

ウスガは昨年10月、米国の要請によりコロンビアで逮捕された。コロンビア政府はウスガの情報に80万ドル、米国はその首に500万ドルの懸賞金をかけていた。

報道によると、ウスガは5日未明にジョン・F・ケネディ空港に到着し、拘留されたという。

ウスガは長年にわたってコロンビアとメキシコから米国に数トン単位のコカインを密輸した罪などに問われている。

ウスガは米国の告発をすべて否定し、無罪を主張している。

国土安全保障省の捜査官は5日、記者団に対し、「彼の顔がすべてを物語っている」と語った。「あの男は敗残兵としてコロンビアから送還されました...」

検察は今年3月に裁判所に提出した文書の中で、「ウスガはコロンビア国家警察に捕まる前、コロンビアで最大かつ最も強力なコカイン密売・準軍組織である国際犯罪組織クラン・デル・ゴルフォ(CDG)の首領だった」と述べている。

また検察は、「CDGは麻薬密売を推進するために、ウスガの指示により、コロンビアの法執行官、軍関係者、敵対する麻薬密売組織、準軍組織、目撃者、一般市民に対する殺人、暴行、誘拐、拷問、暗殺などの暴力行為を繰り返した」としている。

ウスガは犯罪組織の管理、世界規模のコカイン密売への関与・共謀、麻薬密売を助長する銃器の使用で告発されており、有罪が確定すれば終身刑を言い渡される可能性がある。

米国務省によると、CDGは暴力と脅迫を用いてコロンビアの麻薬密売ルート、コカイン処理施設、密輸拠点を支配していたという。

ウスガはコロンビアで最も強力な麻薬カルテルの頂点に立ち、米国などにコカインを密輸することで数十億ドルを稼いだとされる。

検察当局はCDGを「驚異的な暴力能力を持つ組織」と呼んでいる。

身柄の引き渡しに立ち会った連邦検察の担当者は記者団に、「ウスガの組織で活動するシカリオ(ヒットマン)を含む数千人の民兵は殺人、暴行、誘拐、拷問を行った」と述べた。

検察によると、麻薬密売をめぐる犯罪組織間の抗争や縄張り争いによる殺人件数はこの2年間で443%増加したという。

コロンビアのドゥケ大統領は昨年、ウスガの逮捕について、「わが国における今世紀最大の麻薬密売組織への打撃であり、悪名高い麻薬王パブロ・エスコバルの失脚に匹敵する」と述べていた。

またドゥケ大統領はウスガの米国への引き渡しを、「法の支配、治安部隊、正義の勝利」と称賛した。

2021年10月23日/コロンビア、ダイロ・アントニオ・ウスガ容疑者(中央)と国軍の兵士(Colombian presidential press office)
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