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「ディボース・トック」広がる米国、SNSで離婚後の人生を発信、孤独を支える新たな場に

「ディボース・トック」の広がりは、SNS上で結婚生活の成功だけでなく、その破綻や再出発まで共有する時代になったことを示している。
離婚協議のイメージ(Getty Images)

米国のSNS上で「離婚(Divorce)」をめぐる体験や離婚後の生活を発信するコンテンツが広がっている。TikTokでは、結婚生活の破綻や離婚に関する投稿が「Divorce-tok(ディボース・トック)」と呼ばれ、Instagramなどにも関連投稿が相次いでいる。従来は家族や友人にも話しにくかった離婚の経験を、SNSを通じて見知らぬ人と共有することで、同じ境遇にある人同士がつながる動きが目立っている。

その1人がインディアナ州インディアナポリスの写真家モネット・ワグナー(Monette Wagner、36歳)さんだ。3人の子どもを持つワグナーさんは、自身の離婚をめぐる感情や生活の変化を、まるでオンライン上の日記のように動画や投稿で記録している。経済的に自立する過程、離婚後の共同養育、失恋から立ち直るまでの日々などを率直に発信し、離婚を人生の終わりではなく、新たな生活へ移行する過程として捉えている。

ワグナーさんは離婚後、自信や好奇心を取り戻そうと、若い頃に好きだったスケートボードやDJに挑戦している。苦しい時期の姿を子どもたちにも見せることで、困難な状況でも希望を持ち、前に進めることを伝えたいという。SNS上で自身の弱さや不安を隠さず公開することが、本人にとって回復の手段になっている。

離婚関連の投稿はワグナーさんだけではない。TikTokでは「#divorce」のハッシュタグに数百万件の投稿があり、離婚の経緯を詳細に説明する動画や、離婚後に外見や精神面で変化した姿を紹介する「グローアップ」動画などが人気を集めている。離婚を経験した女性が中心で、結婚生活の問題や法的手続き、離婚後の暮らしについて、視聴者から助言や共感を求めるケースも増えている。

フォロワー500万人超の看護師ジェン・ハミルトン(Jen Hamilton)さんも、自身の離婚について発信している。夫が別の相手との二重生活を送っていたと説明し、泣いたり冗談を言ったりしながら、離婚を受け入れていく過程を動画で公開した。結婚14周年になるはずだった日には「自立記念日」を意味する催しを開き、友人や同僚と新しい人生を祝った。自身の痛みを共有することで、同じ経験をするフォロワーも「ひとりではない」と感じられると語っている。

こうした発信の目的は、同情を集めることだけではない。フィラデルフィア在住のクリエーター、アレックス・デーリー(Alex Daly)さんは離婚から約3年後に自身の経験を発信し始めた。離婚の渦中にいる人に向けて、自分だけが苦しんでいるのではないと伝えることを目的としており、フォロワーから「自分は普通なのだと感じられた」といった反応が寄せられているという。

米トレド大学のタシャ・R・ダン(Tasha R. Dunn)准教授は、地域社会には離婚経験者の支援グループが少ない一方、SNSなら同じ経験をした人をすぐに見つけられると指摘する。対面では話しにくい個人的な経験でも、オンラインなら比較的安全に共有できると感じる人がいるという。SNSが従来の支援制度では届きにくかった人々を結びつける役割を果たしている。

一方、離婚を公開することにはリスクもある。ロサンゼルスの家族法専門弁護士ジャッキー・コムズ(Jackie Combs)氏は、離婚手続き中に個人的な不満や親密な情報をSNSで公開することを勧めていない。投稿は相手方や裁判関係者に見られ、法廷で証拠として利用される可能性があるためだ。また、発信者には批判や中傷が寄せられることもある。

「ディボース・トック」の広がりは、SNS上で結婚生活の成功だけでなく、その破綻や再出発まで共有する時代になったことを示している。離婚を失敗として隠すのではなく、一つの人生経験として語り合うことで、孤独を和らげ、新しい生活を始めるための支えを得ようとする動きが広がっている。

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