米墨「スクリューワーム」国境閉鎖、両国の畜産業界で明暗
¥スクリューワームは傷口などに産み付けられたハエの卵からふ化した幼虫が生きた組織を食い荒らす危険な寄生虫で、家畜に深刻な被害をもたらす。
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米国によるメキシコ産牛の輸入停止措置が、両国の畜産業界の明暗を分けている。寄生虫「スクリューワーム(新世界ラセンウジバエ)」の侵入を防ぐために実施された国境閉鎖は、米国最大の牛肉生産地である南部テキサス州の畜産業に深刻な打撃を与える一方、メキシコでは牛肉産業の成長を後押しする結果となっている。
スクリューワームは傷口などに産み付けられたハエの卵からふ化した幼虫が生きた組織を食い荒らす危険な寄生虫で、家畜に深刻な被害をもたらす。米政府は2025年にメキシコからの生体牛輸入を停止し、国内への侵入防止を図った。しかし今月、約60年ぶりとなる感染例がテキサス州で確認され、封じ込め策の有効性を巡る議論が再燃している。
輸入停止の影響を最も強く受けているのがテキサス州の肥育業者だ。かつて年間100万頭以上のメキシコ産牛が米国に輸入され、肥育場で育てられた後に食肉処理されてきた。ところが国境閉鎖によって供給が途絶え、多くの肥育場が稼働率低下に直面している。西テキサスの老舗肥育場「ラボック・フィーダーズ」では、収容能力4万頭に対し飼育頭数が約4000頭まで減少し、閉鎖の危機に追い込まれているという。
米国の牛群数は干ばつや山火事の影響も重なり、75年ぶりの低水準まで落ち込んでいる。その結果、牛肉価格は過去最高水準に達し、消費者の家計負担が増している。食肉加工業界でも原料不足が深刻化し、大手企業では工場の縮小や閉鎖が相次いでいる。
一方、メキシコの畜産業界はこの状況を成長の機会として活用している。これまで米国へ子牛を輸出していた農家は、自国内で肥育から食肉加工まで行う体制への転換を進めている。牛肉の付加価値を国内に留めることで利益率が向上し、2026年最初の4カ月間にメキシコから米国への牛肉輸出は前年同期比23%増となった。北部コアウイラ州では、輸出向け食肉処理施設や加工設備の拡張計画も進められている。
メキシコの生産者は国境閉鎖が結果的に国内産業の競争力強化につながったと評価している。かつては生体牛を輸出するだけだったが、現在は牛肉製品として米国市場に参入できるようになり、雇用創出や投資拡大にもつながっている。
米農務省はスクリューワームの脅威が続く限り輸入再開の時期は未定としている。しかし、国境閉鎖によって米国の供給不足が深刻化し、逆にメキシコの牛肉産業が成長している現状は、感染症対策と産業競争力の両立という難しい課題を浮き彫りにしている。テキサスの牧場主たちが先行きへの不安を強める一方で、メキシコでは新たな畜産ビジネスの拡大に期待が高まっている。
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