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メキシコ市長暗殺事件、首謀者逮捕、カルテル系組織の幹部

マンソ氏は治安悪化が続くミチョアカン州で犯罪組織への厳しい姿勢を打ち出し、連邦政府の犯罪対策が不十分だと公然と批判してきたことで知られていた。
2025年11月2日/メキシコ、中西部ミチョアカン州ウルアパン、殺害されたマンソ市長の葬儀(AP通信)

メキシコ政府は30日、中西部ミチョアカン州ウルアパンのマンソ(Carlos Manzo)市長が殺害された事件について、襲撃を指示したとして犯罪組織の幹部を逮捕したと発表した。

逮捕されたのは国内有数の麻薬組織「ハリスコ新世代(CJNG)」とつながりのある犯罪グループの幹部とされるラモン・アンヘル(Ramón Ángel "N")容疑者(通称R1)で、当局は市長暗殺事件の首謀者とみて捜査を進めている。ハルフッシュ(Omar Garcia Harfuch)治安・市民保護相は記者会見で、今回の逮捕について、組織犯罪の中枢を狙った治安対策の成果であると強調した。

マンソ氏は治安悪化が続くミチョアカン州で犯罪組織への厳しい姿勢を打ち出し、連邦政府の犯罪対策が不十分だと公然と批判してきたことで知られていた。同氏は昨年11月に殺害され、国内外に大きな衝撃を与えた。

捜査当局は今回拘束した容疑者が配下の武装メンバーに犯行を命じた疑いが強いとみているが、動機や実行犯との具体的な関係については捜査を続けるとしている。

ミチョアカン州はアボカドなど農産物の一大生産地である一方、麻薬密売やみかじめ料の徴収をめぐって複数のカルテル・ギャングが勢力争いを続ける地域でもある。CJNGは近年、国内各地で勢力を拡大し、麻薬密輸だけでなく恐喝や誘拐、密輸ビジネスにも関与しているとされる。住民や自治体首長への脅迫事件も後を絶たず、地方政治に対する犯罪組織の影響力が大きな社会問題となっている。

シェインバウム政権は発足以来、軍や国家警備隊、情報機関の連携を強化し、犯罪組織の指導者や資金源を標的とする取り締まりを進めてきた。今年2月にはCJNGの首領ネメシオ・オセゲラ・セルバンテス(通称エル・メンチョ)が治安部隊の作戦で死亡し、政府は組織犯罪への攻勢を一段と強めてきた。しかし、その後も各地で報復とみられる襲撃や道路封鎖が発生するなど、カルテルの影響力は衰えていない。

専門家は、幹部の摘発だけでは犯罪組織の弱体化には限界があると指摘する。組織は指導者を失っても後継者が短期間で台頭し、地域住民への威圧や違法経済を通じて勢力を維持する例が少なくないためだ。また、地方自治体、治安部隊、その他行政機関への浸透も課題となっており、司法制度の強化や汚職対策、地域経済の振興などを含めた包括的な政策が不可欠との見方が広がっている。

今回の容疑者逮捕は市長暗殺事件の真相解明に向けた重要な一歩と受け止められている。一方で、メキシコでは政治家や公務員を狙った襲撃事件が後を絶たず、地方行政を犯罪組織の暴力からいかに守るかが大きな課題となっている。当局は事件の全容解明を進めるとともに、組織犯罪への取り締まりを一層強化する方針である。

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