ハイチで誘拐急増、総選挙を前に治安悪化、ギャング暴力続く中
ハイチは12月13日に総選挙の第1回投票を予定している。
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ハイチで誘拐事件が急増している。国連によると、2026年4~6月に報告された誘拐は少なくとも81件に上り、1~3月から42%増加した。首都ポルトープランス周辺では政府高官や弁護士らも標的となっており、治安悪化が長期化する中、10年以上ぶりとなる総選挙の実施にも懸念が広がっている。
今回誘拐された人物の一人には、国防省の官房長を務める国家警察のジェームズ・ボヤード(James Boyard)長官が含まれている。同氏は6月、ポルトープランス近郊の地区で白昼に連れ去られた。AP通信によると、著名な人権派弁護士や教育関連機関の幹部も誘拐され、今も行方が分かっていないという。
ハイチでは2020年ごろから誘拐が急増。国連によると、報告件数は2020年の234件から2021年に655件、2022年に1359件へ増加し、2023年には2490件に達した。2024年も2058件が報告されたが、2025年には1268件まで減少した。しかし今年は再び増加に転じており、実際の件数は、報復や身代金交渉への影響を恐れて通報されないケースが多いため、統計を上回る可能性がある。
武装ギャングは警察の制服や車両、ナンバープレートを偽装して誘拐を行っているとされる。ギャングが警察内部から標的に関する情報を得ているとの指摘もあり、高官や有力者を狙う誘拐は身代金だけでなく、国家が国民を守れないことを示す政治的な意味も持つと分析されている。
ハイチでは2021年7月にモイーズ(Jovenel Moise)大統領が暗殺されて以降、大統領が不在の状態が続いている。ギャングはポルトープランスの7~8割を支配し、農村部にも活動範囲を広げている。国内避難民は150万人に達した。
暫定政権は治安回復を優先課題に掲げ、警察官4000人の訓練を進めるほか、軍の増強にも取り組んでいる。国連安全保障理事会も9月29日、ギャング制圧部隊(GSF)の任務を2027年3月まで6カ月延長したが、現在の展開規模は約1500人で、当初想定していた5500人を大きく下回る。
ハイチは12月13日に総選挙の第1回投票を予定している。しかし、ギャングが支配する地域では候補者の選挙活動や有権者の投票そのものが困難になる可能性が高い。誘拐とギャングによる支配が続く中、選挙を実施できる治安環境をどう確保するかが、ハイチの政治移行における大きな課題となっている。
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