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ベトナム最大都市を守るマングローブ林に開発の脅威、巨大リゾート・港湾建設で洪水リスク増大の懸念

開発の中心となるのは、ホーチミン市南東部のカンゾー地区で進む大規模な沿岸都市計画だ。
2026年3月1日/ベトナムのマングローブ(AP通信)

ベトナム南部ホーチミン市の沿岸部で、気候変動による高潮や洪水から都市を守ってきたマングローブ林が、大規模な開発計画によって危機にさらされている。経済成長を急ぐベトナム共産党が港湾や道路、海上交通網、新たな沿岸都市の整備を進める一方、科学者らは水の流れが変わり、自然の防災機能が損なわれる恐れがあると警告している。

開発の中心となるのは、ホーチミン市南東部のカンゾー地区で進む大規模な沿岸都市計画だ。ベトナム最大級の複合企業ビングループ傘下の不動産会社ビンホームズは埋め立て地に住宅、商業施設、娯楽施設などを整備する計画を進めている。約2870ヘクタールに及ぶ開発に加え、47億ドル規模の港湾建設や道路、橋、カンゾーと港湾都市ブンタウを結ぶ約14キロの海上交通路、都市鉄道の整備も計画されている。

カンゾーのマングローブ林はベトナム戦争中に米軍が森林を枯らす目的で化学物質を散布したため大きな被害を受けたが、1970年代後半から植林が進み、2000年にはベトナム初のユネスコ生物圏保存地域に指定された。樹木の根は海岸の浸食を抑え、魚介類の生息環境を支えるとともに、温室効果ガスを吸収・貯留する役割を果たしている。

しかし、道路や堤防、埋め立て地が水路を遮断すれば、海水と淡水の流れが変化し、森林の衰退につながる可能性がある。専門家は汚染の増加も生態系への負担になると指摘する。ホーチミン市は約1000万人が暮らす気候変動に脆弱な都市で、市域の約8割が洪水リスクにさらされているとの研究もある。2025年には記録的な豪雨と高い潮位で市街地の浸水が相次いだ。

地元の漁業者からも、工事による魚の減少や水質悪化、養殖場への被害を訴える声が上がっている。一方、開発による雇用創出を期待する住民もおり、地域社会の意見は分かれている。

当局は開発区域が保護地域の中核部分の外にあり、法令に沿って進められていると説明する。ただし、2026年9月には都市鉄道計画のため、保存地域の緩衝区域にある約4.57ヘクタールのマングローブ林を伐採する許可が申請された。経済成長と自然環境の保全をどう両立させるかが問われている。

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