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マレーシア政府、ロヒンギャ難民の送還計画見直し、国際社会の懸念受け

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や人権団体は、安全が保証されない状況での送還は「ノン・ルフールマン原則(迫害の恐れがある場所への送還禁止)」に反するとして、計画の見直しを求めていた。
2022年11月15日/インドネシア、アチェ州の避難所の、ロヒンギャの避難民(Zik Maulana/AP通信)

マレーシア政府は5日、ミャンマー難民約5000人の本国送還計画について、帰還後に生命や安全が脅かされる恐れがある場合は送還を実施しない方針を明らかにした。アンワル(Anwar Ibrahim)首相の報道官は記者会見で、送還対象者の身元確認や安全性の審査を進めているとした上で、「責任ある国家として、迫害や生命の危険が予想される人々を送り返すことはない」と述べ、国際法上の人道的原則を踏まえて慎重に判断する考えを示した。

今回の方針はアンワル氏が先月末、ミャンマー軍の支配下にある政府との協議を経て、国内に滞在するロヒンギャ難民を含む約5000人のミャンマー人を段階的に帰還させることで合意したと発表したことを受けたものだ。しかし、ミャンマーでは2021年の軍事クーデター以降、内戦が続き、各地で軍と民主派勢力、少数民族ゲリラとの戦闘が激化している。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や人権団体は、安全が保証されない状況での送還は「ノン・ルフールマン原則(迫害の恐れがある場所への送還禁止)」に反するとして、計画の見直しを求めていた。

マレーシアは1951年の「難民の地位に関する条約」に加盟しておらず、難民や庇護申請者を法的に保護する制度を持たない。それでも国内にはUNHCRに登録されたロヒンギャ難民約12万6000人を含む20万人以上の難民・庇護申請者が滞在している。

近年は受け入れの長期化に伴い、雇用や住宅、社会保障を巡る負担が増加し、一部地域では住民との摩擦も表面化している。政府はこうした国内事情を背景に送還計画を進めてきたが、人道面への配慮も同時に求められていた。

政府は今後、ミャンマー当局との協議を続けながら、送還対象者一人一人について安全性や本人の状況を確認する方針だ。報道官は「帰還後の安全が確認できない限り、送還は実施されない」と強調した。

国際社会は今回の方針転換を評価する一方、実際の審査が透明性を持って行われるか、また帰還後の人権状況を継続的に監視できる体制が整うかに注目している。ミャンマー情勢に改善の兆しが見えない中、難民保護と国内の移民政策をどう両立させるかが、マレーシア政府にとって大きな課題となっている。

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