コンテンプト・オブ・コート 2-35
アンカレッジ連邦地方裁判所。
法廷の中で、最初の拳が振り下ろされた。
警備員が身をかわす。
拳が肩をかすめた。
「何をする!」
警備員が男の腕をつかむ。
男は振りほどいた。
「邪魔だ、この野郎!」
別の男が警備員へ向かっていく。
警備員も腕を上げた。
「やめろ!」
その声を聞いた男が、わざと大きな声を出した。
「裁判長!」
マリベルが男を見る。
「何ですか!」
男は床に押さえつけられている仲間を指した。
「あの詐欺師を殺して刑務所に入ります!」
法廷がざわめく。
男は拳を握った。
「やっちまえ!」
別の男が叫んだ。
「おう!」
男が警備員に飛びかかる。
警備員が受け止める。
その横から別の男が入った。
「邪魔だ、この野郎!」
肩からぶつかる。
警備員の体が後ろへよろめいた。
「こんちくしょう!」
さらに一人が飛び込む。
法廷の中央で、男たちと警備員が入り乱れた。
マリベルが机を叩く。
「やめなさい!」
誰も止まらない。
「全員、法廷から退出しなさい!」
男の一人が警備員を押し返す。
「こっちは怒ってるんだ!」
「落ち着きなさい!」
「無理だ!」
別の男が拳を振る。
警備員が腕で受け止める。
「もっと本気で殴り合え!」
その声に、近くの男が振り返る。
「分かった!」
二人が向かい合い、拳を振る。
だが、一発目はわざと外れた。
二発目も肩に当たっただけだった。
それでも二人は倒れない。
その横で別の二人が床へ転がった。
「痛え!」
「やりやがったな!」
「お前が先に殴ったんだろ!」
「知るか!」
マリベルが声を張る。
「警備員!」
一人の警備員が振り返る。
「はい!」
「全員外へ出しなさい!」
「分かりました!」
警備員が男の腕をつかむ。
その瞬間、別の男が警備員の肩をつかんだ。
「離せ!」
「お前が離せ!」
二人がもみ合う。
その横で、別の男が床に倒れた。
「おい、大丈夫か!」
「まだやれる!」
男はすぐに立ち上がった。
そして、隣の仲間に小さな声で言った。
「マイクが戻るまでがんばれ」
「分かってる」
二人はすぐに離れ、それぞれ別の相手に向かっていった。
マリベルはその様子を見ていた。
「あなたたち、本当に何をしているのですか!」
誰も答えない。
アトキンソンが法廷の端から叫ぶ。
「裁判長! このままでは危険です!」
「分かっています!」
マリベルは警備員を見る。
「全員やめなさい!」
だが、警備員自身が乱闘に巻き込まれていた。
一人の警備員が男の腕をつかむ。
別の男が横からぶつかる。
三人が一緒に床へ倒れた。
「離れろ!」
「そっちこそ!」
「痛い!」
傍聴人が席を立つ。
法廷の後方では、別の警備員が人を外へ誘導していた。
「皆さん、外へ出てください!」
「早く!」
マリベルは立ったまま、法廷を見回した。
「全員、直ちに退出しなさい!」
しかし、誰も従わなかった。
乱闘は続いている。
警備員も、男たちも、互いに押し合い、殴り合っている。
カーターは被告人席に座ったまま、その光景を見ていた。
隣にいた男も、いつの間にか警備員の手から離れている。
男はカーターを見る。
カーターは小さく首を振った。
「……お祭り騒ぎだな」
男は黙って前を向いた。
まだ騒ぎが続いている。
マイクが戻るまで。
その時間を稼ぐために、男たちは乱闘を続けていた。
