チリ南部でサケ養殖による海洋汚染深刻化、先住民と漁業者が海の再生・保護に奔走
チリはノルウェーに次ぐ世界第2位のサケ生産国で、2025年の生産量は100万トンを超えた。
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チリ南部のグアイテカス諸島で、大規模なサケ養殖によって損なわれた海洋環境を回復させようと、地元漁業者や先住民コミュニティーが保護活動を進めている。養殖業は雇用と輸出収入を支える重要産業である一方、海底の生態系や伝統的な漁業への影響が問題となっている。
40以上の小島からなる同諸島はパタゴニア地方への玄関口に位置し、豊かな海洋生物が生息する自然保護区でもある。AP通信によると、同地域では少なくとも313カ所のサケ養殖施設が認可されている。養殖場から排出される有機物や化学物質、抗生物質などが海洋汚染を引き起こし、海底の酸素不足によって生物が生存しにくくなる区域も生じている。
地元の漁業者イェシカ・ファビアナ・レヴィアンコ(Yesica Fabiana Levianco)さんとパートナーのパウロ・ベラ・ペレス(Paulo Vera Perez)さんは、かつて生物がほとんど見られなくなった海域で、健全なムール貝やアサリを別の場所から移植するなどして海底の再生に取り組んだ。その結果、魚や鳥、ほかの海洋生物が戻り始めたという。漁業者らは、環境回復が生計の維持にも直結すると訴えている。
先住民マプチェの共同体も、伝統的な漁業や採貝、海藻採取などの権利を守るため、海域の保護を求めている。2008年制定の「ラフケンチェ法」は、先住民が伝統的に利用してきた沿岸・海域について、国家機関と共同管理する仕組みを認める。申請中の区域では、新たな養殖施設などの認可が制限されるため、共同体は同法を環境保護の手段として活用している。
一方、業界団体サルモンチレは、漁獲量の減少をサケ養殖だけに帰すことはできないと反論する。気候変動、水温変化、違法漁業、乱獲など複数の要因が関係しているとの立場だ。
チリはノルウェーに次ぐ世界第2位のサケ生産国で、2025年の生産量は100万トンを超えた。環境保全と雇用・輸出の維持をどう両立させるかが大きな課題となっている。
