◎機動隊は催涙ガスと放水砲で暴徒を打ち負かした。
2024年6月12日/アルゼンチン、首都ブエノスアイレスの国会前、暴徒と機動隊(Getty-Images/AFP通信)

アルゼンチン・ブエノスアイレスの国会前で12日、ミレイ政権の税制改革に抗議するデモが暴動に発展し、緊張が高まった。

機動隊は国会近くで火炎瓶や石を放り投げる暴徒に放水砲を撃ち込み、盾と警棒を装備してとびかかった。

地元メディアによると、機動隊は催涙ガスと放水砲で暴徒を打ち負かしたという。

国会前では12日早朝、ミレイ(Javier Milei)大統領に辞任を求めるデモ隊の一部が暴れ出し、機動隊の唐辛子スプレーを浴びた。これにより、野党議員を含む10数人が病院送りとなった。

国会でミレイ氏肝いりの税制改革法案の審議が始まると、数千人が国会前に終結。法案を否決し、破り捨てるよう迫った。

ミレイ氏の政党は少数派であり、法案が成立させるためには他政党の協力が必要不可欠である。

国会から数キロ離れた市中心部の通りではデモ隊がトランペットを吹き鳴らし、即席のバーべキューで肉を焼き、ミレイ氏を揶揄する歌を歌うなど、カーニバルのような雰囲気が広がっていた。

しかし、盾と警棒を装備した機動隊が現れると様相が一変。押し合いへし合いの大乱闘となった。

国会前の機動隊は放水砲と催涙ガスでデモ隊を蹴散らし、道路に設置されたバリケードを撤去した。

暴徒は機動隊に火炎瓶や石を投げつけ、パトカー少なくとも1台を破壊した。

報道によると、午前の唐辛子スプレーによる事案以外で負傷者が出たという情報はない。逮捕者が出たかどうかも不明である。

昨年就任した自由至上主義者のミレイ氏は左派政権が積み上げた債務を一掃し、低迷する経済を立て直すため、公務員の人員整理と賃金削減を推進し、公共事業を凍結し、政府庁舎の数を半減させ、中央銀行を解体し、自国通貨であるアルゼンチン・ペソを米ドルに置き換えると宣言。緊縮財政により、同国のインフレ率は一桁台に突入した。

国際金融機関はミレイ氏の政策を評価している。

ミレイ政権は16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めてきた。

しかし、同国の物価はミレイ氏が就任する前から欧米の水準まで上昇しており、低中所得者層の生活を直撃。経済的苦境に拍車をかけている。

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