己の正義を信じ戦うトランプ大統領、ツイッターでツイッター社を責め立てる

人々はツイッター社に対し、トランプ大統領の過激なツイートを他のユーザーと同じように扱え、と指摘し続けたが、ジャック・ドーシーCEOはそれを拒否してきた。しかし今週、全てが変わった。

26日、トランプ大統領は「ロリ・クラウスティス氏」が2001年にMSNBCの「ジョー・スカーボロ元下院議員」に殺害されたという陰謀論をツイートした。これは関係者を危機的状況に陥れる可能性のある”根拠のない”発言であり、非難が殺到する。そして、このツイートを許可したツイッター社にも同じく非難が集まった。

陰謀論が世界中に発信された翌日、ツイッター社は思いもよらぬ行動に出る。2つの注意喚起タグ(ファクトチェック)を初めてトランプ大統領に授与したのである。その日大統領は、「郵送投票は不正を招き、政治を混乱させる・・・(以下略)」とツイート。この内容が事実確認を必要とする、つまり「誤った情報である」と指摘したのだ。

ソーシャルメディアの専門家、クリス・ストーケル・ウォーカー氏はBBCの取材に対し、「ツイッター社が選挙の領域における誤ったツイートをそのまま放置することは間違いである」と述べた。

注意喚起タグを授与されたトランプ大統領は、ソーシャルメディアをシャットダウンする、とほのめかした。しかし、ツイッター社およびドーシーCEOは、怒れる男との不毛な争いから逃げ出そうとは微塵も考えていなかった。

29日早朝、ミネアポリス警察における黒人男性の暴行死に抗議の意思を示したトランプ大統領は、「・・・略奪が始まると銃撃が起こる」と警告のツイートを発信した。

これに対しツイッター社は、不当な扱いを受け死亡した黒人男性の死を美化し、「暴力を誘導する不適切な発言」と見なし、「非表示扱い」とした。ただし、ツイートをクリックすれば、内容を閲覧することはできる。

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正義の夜明け

数時間後、トランプ大統領はホワイトハウスの公式ツイッターアカウントから黒人男性の死に関する警告ツイートを再度発信。ツイッター社はそれも非表示扱いとした。

両雄一歩も引かぬ争いは、どちらが優位に立っているのか判断できない様相を呈してきた。今回の措置に抗議すべく、ホワイトハウスは世界の指導者たちの問題発言ツイートを調査しているという。

これに対しツイッター社の行動を擁護する者たちは、コロナウイルスに関連するトランプ大統領の不適切な発言を調査、誤った情報に惑わされてはならないと警告している。

これまでツイートへの規制に消極的だったドーシーCEOは、世界の指導者を広範囲に渡って取り締まるべく、率先して行動を開始したと言える。これまで不適切ツイートを許可し、厳しい批判も受けてきたが、今回の一件に対しては正義の一撃をお見舞いしたのである。

一方、ソーシャルメディアの頂点に立つフェイスブックは、ツイッターよりも厳格な規制を適用しているにも関わらず、トランプ大統領の投稿を許可している。先日、ツイッター社に注意喚起ラベルを授与された郵送投票に関する投稿はフェイスブックでも行われているが、警告やチェックマークがつくことはなかった。

マーク・ザッカーバーグCEOは政治家たちの発言に関し、「ジャック・ドーシーのように事実確認を行うつもりはない。そして、その考えに従うつもりもない」とコメントした。

ウォーカー氏はザッカーバーグCEOの発言について、「トランプ大統領は大喜びしているだろう。彼は鍋をグルグルかき回すことが大好きだ。今、鍋の中にいるのはフェイスブックとツイッター社のCEOである。大統領は二人を対立させることに成功した」と述べた。

2019年、ツイッター社は、国に大きな影響を与える公人がルールに違反するツイートを発信した場合、それを削除するのではなく”警告を与える”新システムを導入した。ただし、明らかに不適切と判断できる発言は削除もしくはアカウント停止の対象になり得る。

ロリ・クラウスティス

2001年7月、ロリ・クラウスティス氏は、当時共和党議員だったジョー・スカーボロ氏のフロリダ事務所で死亡した。

当局による捜査の結果、同氏が急性硬膜下血腫(血栓)を患っていたことが立証された。結果、事務所で身体に変調をきたした同氏は、その場で意識を失い、頭を打ち付けて死亡したと結論づけられた。なお、事故を偽装する証拠は発見されていない。

トランプ大統領に”殺人犯である”とほのめかされたスカーボロ氏は、事故当時ワシントンD.C.にいた。現在MSNBCの人気プレゼンターを務める同氏は、トランプ大統領のコロナウイルス対応を強く批判しており、それが大統領の怒りに触れ今回の事案につながったと考えられている。

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