イラン・オマーンのホルムズ海峡通航再開案、海運業界が懸念示す「実現困難」
今回の提案では、イランがペルシャ湾へ向かう船舶の通航を管理し、オマーンが出港する船舶を担当する案が浮上している。
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イランとオマーンが協議しているホルムズ海峡の船舶通航再開案について、国際海運業界は実施困難との見方を強めている。案ではイランがペルシャ湾に入る船舶の管理権を持つ仕組みが検討されているが、米国の対イラン制裁や保険制度上の制約があるという。
ロイター通信は海運関係者の話しとして、「現状の案では商業船舶の安全で安定した運航を確保することは難しい」と報じた。
ホルムズ海峡は中東産原油や液化天然ガス(LNG)の輸送に欠かせない要衝であり、湾岸諸国のエネルギー輸出を支える。今回の提案では、イランがペルシャ湾へ向かう船舶の通航を管理し、オマーンが出港する船舶を担当する案が浮上している。イランとオマーンは通航ルートの地理的な調整で合意に近づいているとされるが、安全確保や運用方法など未解決の問題が残っている。
最大の障害となっているのが「通航料」を巡る問題だ。ロイターによると、イランは貨物価値の5~7%程度の料金徴収を求め、オマーン側は3%を検討している。一方、米国は通航料の導入に反対している。海運業界はこうした料金制度が国際航行の原則に反する可能性があるほか、船会社に追加負担を強いることで輸送コストの上昇につながると警戒している。
さらに、米国のイラン制裁が実務上の大きな壁となっている。イラン関連機関への支払いは制裁対象となる可能性があり、船会社が通航料を支払えば資産凍結などのリスクに直面する恐れがある。また、海運保険市場でも、通航料を支払った船舶への保険適用を停止する条項が導入されており、企業は安全保障と法的リスクの両面で難しい判断を迫られている。
トランプ(Donald Trump)米大統領はホルムズ海峡の再開に向けた合意が近いとの姿勢を示しているが、海運関係者の間では、実際に船舶の往来が正常化するには具体的な安全保証や制裁問題の解決が必要との見方が広がっている。国際海事機関(IMO)もホルムズ海峡の通航は自由で差別のない形で維持されることが重要だとしている。
ホルムズ海峡の安定は世界の原油価格やエネルギー供給に直結する。通航再開に向けた外交努力が続く一方、海運業界が安心して利用できる制度設計が整わなければ、混乱がさらに拡大する恐れもある。
